[O-1-065] 肝の脂肪化定量評価に関する、1H-MR Spectroscopyの1.5Tと3Tの比較
【目的】肝脂肪定量評価法として1H-MR Spectroscopyの有用性が高いことが知られているが、装置による違い、および、シークエンスによる違いに関して同一症例比較および基礎的な実験による比較を行い相違点に関して検討した。【対象と方法】使用装置は1.5T はシーメンス社製Magnetom Avanto、3Tはフィリップス社製Ingeniaを使用し、STEAM法およびPRESS法にて検討した。撮像条件は1.5T ではPRESS(P)法:TR/TE4000/30 (ms)、Ave(積算)2、Voxel size 2x2x2cm 3 (8cc)、STEAM(S)法:TR/TE4000/20 (ms)、Ave(積算)3、Voxel size 2x2x2cm 3 (8cc)、2point-DIXON法:TR/TE 7/ 2.4/4.8(ms)、スラブ厚 5mm、average 1 撮像時間20秒とした。3T ではTR5000msec、VOI size 30×30×30mm、BW 2000Hz、撮像時間20msec、TEをPRESS:35msec,STEAM:10msecとした。同一症例としては種々の脂肪化のある15例とした。ファントムは既知の脂肪濃度のマヨネーズと脂肪含有量を変化させたラードファントムを作成して、撮像した。装置内蔵のフィッティング法で検討した。【成績】1.ファントム:マヨネーズ(濃度75%)では定量値はそれぞれ、1.5T; S法80%、P法75%、3T;S法102%、P法88%、マヨネーズ(濃度34%) では定量値はそれぞれ、1.5T; S法63%、P法66%、3T;S法104%、P法75%であり、3TでS法が最も近く、1.5Tでは低い傾向にあった。同一症例の脂肪定量では1.5T のP法と3TのS法では相関係数r=0.91で比率は0.63であった。【考案とまとめ】1.5Tと3Tでは良好な相関関係にあるが、一定の比率で1.5T は低値であった。人体の脂肪の成分比率は一定であるとされ、メインピークである、CH2メチレン基は0.6~0.7程度を占めるとされる。1.5T ではこのメインピークのみを測定している可能性が高い。今後はLCモデルを用いてさらに検討したい。