[O-1-073] 前立腺T2強調画像におけるRADARでのCartesian同等コントラスト、空間分解能の検討
【目的】前立腺は蓄尿や蠕動運動により動きの影響を受けやすい上に、撮像対象が小さいため、体動対策が重要である。当院で稼動している日立メディコ社製1.5TMRI装置Echelon-Vegaでは、動きに強い撮像法としてradial scanの一種である、RADARが搭載されている。RADAR-FSEでは、Bladeを回転させてk空間内にデータを充填するとともに、一つのBlade内にはEcho Trainで得られる全エコーが配置される。Bladeはk空間の中心を軸として全周性に回転するため、k空間中心付近には実効TE以外のエコーも配置され、コントラストはCartesianに比して低下する。またRADARではk空間の周辺が疎となると空間分解能が低下するため、適切なProj#数を設定する必要がある。今回我々は、RADARを用いてCartesianと同等のコントラスト、空間分解能となるT2強調画像の撮像条件を検討した。【方法】使用機器は日立メディコ社製1.5T装置 ECHELON-Vega、コントラスト評価用自作ファントム、空間分解能評価用ファントム。撮像条件はTR/TE=4000/100、FOV250、Matrix256×224、スライス厚3mm、スライス枚数24枚、撮像時間2分~5分。1.前立腺の内腺、外腺、尿管のT2値を模擬した造影剤希釈ファントムを作成、尿管ファントムは実際の細さに近づくよう細い径の容器を用いた。RADARおよびCartesianにて同等のT2強調撮像条件にて撮像し、コントラストを測定した。2.どのファントムでもCartesianに比してRADARではコントラストが低下していたため、RADARにてTEを延長、もしくはEcho Trainを減少させた。3.内腺-外腺ファントムにおいてはCartesianに比してRADARではコントラストが低下していたため、RADARにてProj#を増加させた。4.これら合計5種類の撮像条件にて、コントラストと空間分解能を評価した5.実験の目的を十分に説明し、同意を得たボランティアに対し、4.と同じ撮像条件にて撮像した。【結果】Echo Trainを減少させ、Proj#を増加させたRADAR撮像条件ではCartesianと同等の前立腺コントラスト、空間分解能が得られた。【結論】RADARにてCartesianと同等のコントラスト、空間分解能となるT2強調画像撮像条件を作成することができた。今後は臨床評価を実施する。