第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

前立腺-その他

前立腺-その他

Thu. Sep 18, 2014 10:20 AM - 11:20 AM 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:玉田勉(川崎医科大学 放射線医学教室(画像診断1))

[O-1-078] ダイナミック造影MRIを用いた前立腺腫瘍における循環動態の定量評価法の検討

生駒洋子1, 小畠隆行2, 立花泰彦2, 尾松徳彦2, 岸本理和2, 野宮琢磨2, 伊藤浩1, 辻比呂志2 (1.放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター, 2.放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター)

【目的】ダイナミック造影MRIは、対象組織における造影剤の濃度変化を画像化することで、血管新生により増加する腫瘍の血流・血管透過性を定量評価することができ、腫瘍診断や治療効果判定に役立つ。しかし、それらを求めるには薬物動態学的解析が必要となり、報告されている定量法は必ずしも実用的ではない。そこで本研究では、前立腺腫瘍を対象に、シミュレーションおよび実データを用いて、精度が高く、かつ簡便な循環動態の定量評価法を検討した。【方法】血液中と組織中の造影剤濃度の関係を、造影剤の組織移行速度定数(Ktrans)、血管外細胞外腔の体積比(Ve)、血管内成分の体積比(Vp)を用いたコンパートメントモデル(Extended Tofts Model)で表し、血液入力関数と様々なモデルパラメータを与え、前立腺を想定した組織時間濃度曲線を作成した。この曲線において、数種類の定量法を用いてKtransを推定し、真値と比較して推定精度を評価した。また、血液入力関数の代わりに参照部位の時間濃度曲線を用い、参照部位と対象部位のKtrans比を求める参照領域法について、同様にシミュレーションを行って推定精度を検討した。次に、これらの手法を前立腺腫瘍患者の画像解析に応用した。Gd造影剤投与から約5分間のダイナミック撮像で得られたGRE T1強調画像と造影前T1マップからGd濃度画像を作成し、前立腺の正常部位と腫瘍部位、および参照部位として内閉鎖筋と大臀筋に関心領域を選択して、正常部位と腫瘍部位のKtransおよびKtrans比を評価した。【結果】シミュレーションでは、VeあるいはVpを無視した簡略化モデルはKtransが過小評価および過大評価されるものの、Ktransの推定値は真値と良い相関を示した。一方、Extended Tofts ModelはKtrans、Ve、Vpをすべて算出できるが、血液入力関数の誤差に大きく影響された。参照領域法で推定したKtrans比も真値と良い相関を示した。前立腺腫瘍の解析では、腫瘍部位のKtransおよびKtrans比が正常部位に比べ高かった。【結論】臨床検査では血液入力関数を正確に測定することが難しいため、血液入力関数の代わりに参照部位を用いてKtrans比を算出する参照領域法が、簡便かつ高精度である。