[O-1-086] 乳腺領域における拡散尖度画像の初期経験
【背景】現在臨床にて広く使用されているADC値やIVIMに加え、拡散尖度画像の臨床応用が可能となれば診断の一助となり得るものの、未だ一般的に用いられるには至らず今後の臨床応用が期待されている。【目的】乳腺領域における拡散尖度画像の有用性について検討する。【方法】2013年3月から2014年2月に当院にて乳腺MRIが施行された93例の内、病変が認められなかった37例と化学療法後の5例を除く51例58結節(良性21例、悪性37例)を対象とした。対象をSingle-shot EPI法(TR/TE 2000/67ms , matrix 112×80% , slice thickness/gap 6/0mm, b-factor 0,100,500,1000,1500,2000sec/mm2)にて横断像で撮像し、MATLAB software(Mathworks,Natick,Mass)を用いてmean kurtosis(MK)およびADC値を算出し、良悪性間にて両者を比較した。【結果】良悪性間の結節の大きさに有意差は認められなかった(良性:18.1±14.1,悪性:18.6±8.6)。MKは良性病変(0.74±0.22)に比べ、悪性病変(1.13±0.28)にて有意に高値を示し(P < 0.001)、ADC値は良性病変(1.72±0.41)に比べ悪性病変(1.17±0.35)にて有意に低値を示した(P < 0.001)。感度はMK(62.2%)に比べADC(71.4%)が高値を示し(P =0.007)、特異度はADC(86.5%)に比べ、MK(100%)が高値を示した(P=0.04)。AUCはMK及びADCの間で有意な差は認められなかった。【結語】拡散尖度画像の乳腺領域への応用が有用である可能性が示唆され、今後の更なる症例の蓄積と検討が望まれる。またMKは組織の微細構造の複雑性を反映する為、良悪性の鑑別に留まらず化学療法後の効果判定等への応用も期待される。