[O-1-088] ダイナミック造影MRIにおけるトリプルネガティブ乳癌の定量的検討
【目的】トリプルネガティブ乳癌のダイナミック造影MRIを定量的に解析し、ホルモン受容体陽性乳癌と比較検討した。【方法】2012年7月から13年12月までに、MRIを施行し手術を行った浸潤性乳管癌のうち、トリプルネガティブ乳癌と診断された8例とホルモン受容体陽性乳癌と診断された46例(luminal A type 24例、luminal B type 22例)を対象とした。全例女性で、平均年齢は57歳(23-76歳)である。撮像装置は3T MRIで、ダイナミック造影MRIの定量的解析にはSiemens社製のアプリケーションTissue 4Dを用いた。病変が最大に描出されている横断面で、病変全体および、BI-RADS MRIに準じて最も悪性造影パターンを呈すと疑われる領域(most suspicious region)にROIを設置した。これらのROIに対して、Ktrans(血管から間質への移行係数)、kep(間質から血管への移行係数)、Ve(間質腔体積)の各パラメータの平均値を算出した。病変全体を囲んだROIに対しては、各パラメータ値の分布のばらつきを検討するために、標準偏差および変動係数も算出した。【結果】luminal A typeのホルモン受容体陽性乳癌と比較し、トリプルネガティブ乳癌では、病変全体内のVe値の標準偏差と変動係数、most suspicious region内のkepの平均値が有意に高値であった (p=0.018、p=0.019、p=0.016)。luminal B typeの乳癌と比較し、トリプルネガティブ乳癌においては、病変全体内のVe値の標準偏差および変動係数が有意に高値であった (p=0.005、p=0.002)。トリプルネガティブ乳癌に特徴的な定性的所見であるrim enhancementを示した5症例では、病変の辺縁にVe高値域が、中心部にVe低値域が分布していた。【結論】トリプルネガティブ乳癌のダイナミック造影MRIは、ホルモン受容体陽性乳癌と比較し、病変内の間質腔体積の分布にばらつきが大きいことが定量的特徴であると示唆された。