[O-1-103] T1マップを利用したWhite matter attenuated inversion recovery (WAIR)画像検査法の提案
【目的】Double inversion recovery (DIR)法を用いることで,脳脊髄液と白質を抑制したWhite matter attenuated inversion recovery (WAIR)画像を得ることができる.WAIR画像は,多発性硬化症などにおいて有用性が既に報告されている.しかし,適切なWAIR画像を得るためには,複雑な可変撮像パラメータを最適化する必要がある.本研究ではT1マップを利用して短時間に簡便に最適化できるWAIR画像検査法の構築を目的とした.【方法】フィリップス社製1.5テスラMRI装置(Ingenia 1.5T)を利用した.本研究では,撮像パラメータを算出するために必要なT1値を,簡易T1マップ撮像シーケンスを用いて測定した.次に,T1マップから測定したT1値と,繰り返し時間およびエコー時間を初期値として,残りの撮像パラメータを,自作プログラムを用いて最適値を算出した.最後に,算出されたパラメータを用いてWAIR画像を撮像した.評価のために,ボランティア8名のWAIR画像を取得した.WAIR画像は,提案法と先行研究で利用されている撮像パラメータを利用した方法で取得した.得られたWAIR画像について,脳脊髄液と白質および灰白質のコントラストを算出して,Wilcoxon順位和検定を行った.【結果】提案法では,撮像パラメータを変化させた全ての条件において良好なWAIR画像を取得できた.また提案法で得られた画像の灰白質のコントラストは,先行研究の条件で撮像された画像より得られたコントラストより有意に高くなり,白質のコントラストは有意に低くなった (p<0.01).【考察】DIR法では,WAIR画像のような独特なコントラストの画像を得ることができる.しかし,T1値は個人差があり,適切に目的組織の信号を抑制することは難しい.本研究では,T1マップと撮像パラメータ最適化プログラムを利用することで,T1値の個人差などによる抑制不良を低減できる検査法を構築した.提案法により,従来の信号抑制不良な症例に対しても良好なWAIR画像を取得することができると考える.