[O-1-104] 大脳白質の男女差の検討
【目的】大脳白質には男女差があり、男性では半球内、女性では左右半球の連絡が多いと言われている。これには数多くの反論があり結論はない。OASISを用いて大脳白質の形状に男女差があるかVBMを用いて検討した。【方法】OASISのMRIのうち、CDR=0である316例を対象とした。解析はspm8による標準的なVBM法を用い、白質のROI解析にはBAAD を利用した。頭蓋内容積(TIV)を男女間で一致させた37 pairsはArdekaniらの報告を用いた。【成績】白質の体積はTIVと比例して大きいが、両側前頭葉と前部脳梁、後部帯状回はTIVとの相関が強く、皮質脊髄路、小脳および脳幹の白質は小さかった(p<0.05)。TIV-matched pairにおいては、脳梁面積と体積の男女差はそれぞれz値が2.89、3.12とp<0.005で有意に女性が大きかった。特に、脳梁の膝部と膨大部で顕著であった。左の前頭葉白質(Broca)、両側前頭葉底面、皮質脊髄路は女性、左右側頭葉先端部、後頭葉、小脳、延髄は男性で有意に大きい結果であった。316例において、TIVと年齢を補正した後の男女差の統計結果も同じ結果であった。【結論】女性の脳梁が男性よりも相対的に大きく見えるのは、単に脳の大きさの差を反映しているとの意見が多い。今回の我々の結果は、女性の脳梁が男性よりも大きいのは、脳の大きさに依存しない“性”特有の差であることを示した。特に左右の前頭葉底面を連絡する領域、Brocaの領域において女性の白質が大きい結果であった。