[O-1-109] presaturation pulseが画像コントラストに及ぼす影響
【背景・目的】スピンエコー法による頭部T1強調撮像ではmagnetization transfer(MT)効果やcross-talk効果により白質と灰白質のコントラストが低下することが知られている。これらはマルチスライス撮像による影響が考えられ、特に3.0Tでは非常に顕著となるため撮像時間は延長するが撮像分割数を増やすことなどでその影響を軽減している。今回、マルチスライス撮像と同様な影響を及ぼす他の要因として、動脈の流入信号を抑制するため尾側に付加するpresaturation pulseに着目し、その付加および設定パラメータによる画像コントラストの変化について検討した。【方法】使用装置はシーメンス社製MAGNETOM Trio 3.0T。本実験の趣旨を十分理解し同意が得られたボランティアをpresaturation pulseなし、およびpresaturation pulseの設定パラメータであるThickness (mm)とGap(mm)をそれぞれ変化させマルチスライス撮像した。同一断面における白質と灰白質のコントラストを計測・比較検討し、presaturation pulseの目的である血流信号の抑制効果は視覚的に評価した。【結果】presaturation pulseを付加することにより画像コントラストが低下した。Thicknessは薄いほど、Gapは大きくするほど画像コントラストの低下を最小限にすることができたが、Gapを大きくしすぎた場合には血流信号が抑制されなかった。【結論】MT効果やcross-talk効果により画像コントラストが低下するが、その要因はマルチスライス撮像による影響以外にもpresaturation pulseによる影響があることが示唆された。presaturation pulseを付加したときのパラメータのデフォルト値はこれらの影響が考慮されていないため、設定パラメータを最適にしてその影響を最小限にすることで、撮像時間の延長なども伴わずに比較的良好なコントラストを保持した画像を得ることができる。