第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

PET-MRI

PET-MRI2

2014年9月18日(木) 15:20 〜 15:50 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:久保均(福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 先端臨床研究センター)

[O-1-130] PET/MRI一体型検出器の開発:カーボン製シールドボックスのMRIへの影響評価

清水浩大1, 菅幹生1,2, 錦戸文彦2, 中島巌3, 川畑義彦3, 栗林秀人4, 山谷泰賀1,2, 小畠隆行2 (1.千葉大学大学院工学研究科 人工システム科学専攻メディカルシステムコース, 2.放射線医学総合研究所, 3.高島製作所株式会社, 4.シーメンス・ジャパン株式会社)

【目的】現在放射線医学総合研究所では、MRIのバードケージコイルにPET検出器を付けた「PET/MRI一体型検出器」を開発している。PET検出器に用いるシールドボックスは、取得画像の信号対ノイズ比(SNR)の向上のために電磁波の遮蔽性能が高いことと、画像ひずみ抑制のために渦電流による二次磁界の発生が少ない素材が望ましい。本研究ではシールド素材としてカーボンロービングの有効性を評価することを目的とした。【方法】224.8 × 94 × 36.6 mm3のFRP(ガラスエポキシ)パネルに、カーボンロービング(繊維径:7 μm、 幅:10 mm)をMRIの静磁場に平行な頭尾方向に1重に巻いたボックスと、これと直行する方向にも1重に巻くことで2重にしたボックスを作製した。パネルの各辺を電気的に接続するために、銅テープ(厚さ50 μm、幅10 mm)を利用した。作製したカーボン製シールドボックスとの比較に、先行研究で使用した銅箔(厚さ:35 μm)製のボックスを使用した。ボックス内にはPET検出器を設置し、ケーブルとペネトレーションパネルを通じてMR室外の収集系に接続した。PET収集系から発生する電磁波ノイズのMRIへの影響を評価するため、PETデータ収集系の電源を入れた状態と切った状態で取得したスピンエコー画像のSNRを求めた。設置するシールドボックスの種類に依存してコイルの感度特性が変化するため、PETデータ収集系の電源を切った状態のSNRを基準に正規化したSNR減衰率によってシールド効果を評価した。二次磁界の評価はEPIによる二次磁界測定法を用いた。【結果・考察】SNR減衰率はシールド素材が銅箔で1.0%、カーボンロービング1重で1.3%、2重で1.1%となった。カーボンロービングは銅箔と同様に高いシールド性能を有することがわかった。二次磁界はシールドボックス近傍のROIにおいて、銅箔で2.8 μT、カーボンロービング1重で0.8 μT、2重で0.6 μTであった。以上の結果より、カーボンロービングが銅箔よりもシールドボックスに適した素材と考えられる。 【結論】カーボンロービングは銅箔と同等の電磁波遮蔽性能を有しつつ渦電流の発生を抑制できることから、本検出器のシールド素材として有効であることを示した。