[O-2-157] 統合失調症患者のresting state fMRIにおけるdefault mode networkの検討
【背景・目的】fMRI撮像でタスク刺激を行わないresting state fMRI(rsfMRI)が考案され、その中で注目されているのがdefault mode network (DMN)である.DMNは閉眼安静時で最も酸素代謝や血流量が高く,脳の標準状態を形成するとされている.特に後部帯状回がDMNの中心的なつながりが有るとされ,アルツハイマー病や認知機能障害などで信号変化があるとされている.そのため,DMNはこれらの病気を表す新たな指標になる可能性がある.本研究では健常人と統合失調症患者に対してrsfMRIを撮像し,DMNの活動領域に変化がみられるか検討を行った.【方法】健常人(24-64歳)10名と統合失調症患者(24-53歳)5名を対象とした.統合失調症患者には,薬物投与2週間前と投与6週間後のrsfMRIの撮像を行った.前処理として体動補正や時間補正などを行い,独立成分分析を用いてDMNの抽出を行った.【結果・まとめ】統合失調症患者は,健常人に比べDMNの後部帯状回で活動領域が低下して見られた.また統合失調症患者における薬物投与後のDMNの活動領域は,投与前に比べ広く見られた.そして,薬物投与前と健常人におけるspatial correlationは0.680,薬物投与後と健常人では0.735となった.今回の結果より,健常人と統合失調症患者のDMNの活動領域には変化が見られ,薬物療法によってDMNの信号を改善する可能性が示唆された.