[O-2-159] 自閉症患者におけるresting state functional MRIの検討
【背景・目的】functional MRIを用いた研究では課題刺激を行わない安静状態のfunctional connectivityの検討が行われており、resting state functional MRI (rsfMRI) と呼ばれている。rsfMRIは後部帯状回や内側前頭前野などの領域で活動があり、脳の標準状態とされるdefault mode network (DMN) や、前頭葉背外側と頭頂連合野などの領域で活動があり、認知機能に関わるexecutive controlなどのネットワークが存在する。rsfMRIの臨床研究ではアルツハイマー病や軽度認知機能障害などの精神疾患と関連性について検討が行われており、疾患の評価方法として期待されている。今回我々は自閉症患者のrsfMRIによるネットワークの変化を検討した。【方法】被験者は健常人9名 (男性5名、女性4名、平均年齢10.7±3.0) と自閉症患者10名 (男性8名、女性2名、平均年齢4.2±2.8)であった。使用機器はGE社製3T discovery 750を用いて、閉眼安静状態で3分12秒の撮影を行った。撮像シーケンスはGE型EPI (TR:2000ms、TE:27ms、4mm厚、画素数 128×128、FOV 240mm) で行った。 解析はspm8を用いてslice timingや体動補正などの前処理を行い、独立成分分析により分類を行った。【結果・考察】自閉症患者におけるrsfMRIのネットワークはDMNや運動野、視覚野、聴覚野などの領域を確認することができ、健常人とのspatial correlationはそれぞれ0.677、0.767、0.838、0.706となった。しかし、自閉症患者において健常人と同じようなexecutive controlのネットワークは確認できなかった。自閉症患者は前頭葉の神経細胞の数が多く、脳の過形成が原因とされる報告がある。そのため、前頭葉に関連するネットワークが健常人に比べ変化していると考えられた。【結語】自閉症患者におけるrsfMRIは健常人に比べ高次脳機能領域である前頭葉のネットワークが変化している可能性が示唆された。