[O-2-174] アルツハイマー病における大脳皮質の位相差強調画像による評価
[目的] アルツハイマー病の大脳皮質にはアミロイドが沈着し、7T MRIでは信号変化が起こることが知られているが、3T MRIでも組織のコントラストに優れる位相差強調画像を用いれば異常を検出できる可能性がある。本研究の目的は3T MRIでの位相差強調画像にて健常者と比較してアルツハイマー病の大脳皮質に相違がみられるかどうかを検討することである。[対象と方法] 対象は、アルツハイマー病患者5例(59-85歳、男性4例、女性1例)と年齢をマッチさせた健常ボランティア5例を3T MRI(Achieva 3T, Philips)で2mm スライスで2D TFE(TR/TE/FA 893/34.5/50°)横断像を撮像した。アルツハイマー病の診断は経験豊富な2名の精神神経科医がNINCDS-ADRDAクライテリアに基づいて行った。得られたMRデータをPADRE処理を行い、大脳皮質内の構造がみられる位相を選択し、位相差強調画像を作成した。2名の放射線科医が大脳皮質の低信号の分布を4段階で評価し、Mann-Whitney testで検定した。1名の放射線科医が大脳皮質(楔部)と近傍白質の信号を測定し、大脳皮質・白質のコントラスト比(白質信号-皮質信号/白質信号)を算出した。また、両群間をunpaired t-testで検定した。[結果] 健常ボランティア5例では、大脳皮質の中で後頭葉内側部や側頭葉などの一部に低信号域(grade 1 もしくはgrade 2)を認めた。一方、アルツハイマー病患者では5例中4例で大脳皮質にびまん性に低信号域(grade 3もしくはgrade 4)がみられ、健常ボランティアと比べ有意差がみられた。健常ボランティアとアルツハイマー病患者の大脳皮質・白質コントラスト比はそれぞれ0.27 ± 0.15、0.44 ± 0.12で有意差がみられた。[結論] 3T MRIのPADREを用いた 位相差強調画像にて健常者とアルツハイマー病の大脳皮質には相違がみられる。