[O-2-190] locomotive syndromeを視野に入れた筋のコンディション評価法
【背景・目的】locomotive syndrome(以下:ロコモ)は「運動器の障害によって介護が必要な状態や要介護リスクの高い状態」と定義される。予防には日頃からの運動が必須であるが、加齢がロコモのリスクであることから、心臓への負担が比較的少なく筋への負荷が大きい運動が望まれる。運動時の血流を制限する加圧トレーニングは、短時間の低負荷強度で行うため心臓への負担が少ない上、筋力増強効果が高いと報告されている。本研究では、加圧トレーニングが筋機能や筋状態に及ぼす影響を検討した。【対象・方法】本学の学生ボランティア8名を対象とした。両下肢を運動群と加圧運動群に分けた。運動負荷は、セラバンドを用いて足関節背屈を週3回の頻度で3ヶ月間行わせた。加圧負荷は、マンシェットを大腿部に巻き、200mmHgで加圧した。評価として前脛骨筋部のdixonを撮像しFat Fractionを求めた。加えて6軸のDWI(b = 0, 100, 250 s/mm2)を撮像して、eigenvalues(λ1、λ2、λ3)を評価した。3T臨床用MRI装置 TrioTim(Siemens)を用い、コイルはbody matrix coilとした。あわせて前脛骨筋の最大筋力も計測した。【結果】加圧運動群の前脛骨筋の最大筋力は、運動実施前と比較してトレーニング3ヶ月後に有意な増加を示した。加圧運動群のFat Fractionは、運動群と比較してトレーニング3ヶ月後に有意に低値を示した。加圧運動群のλ1は、運動群と比較してトレーニング1ヶ月半および3ヶ月後に有意に増加した。【考察・結語】加圧運動は、筋力増強と筋肥大因子である成長ホルモンとIL-6、フォリスタチンを増加させ、ミオスタチンを抑制させると報告されている。一方、筋内への脂肪蓄積は、運動能力や筋機能の低下に直結し、転倒・骨折から寝たきりを誘発する。その結果、ADLやQOLを著しく低下させる。以上のことから、筋の状態変化やロコモ予防のスクリーニングに、Fat FractionやDTI解析が有用である可能性が示唆された。