第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

灌流-脳

灌流-脳

Fri. Sep 19, 2014 3:10 PM - 3:40 PM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:宮崎美津恵(東芝メディカルシステムズ株式会社 MR開発部)

[O-2-194] Time-SLIP法を用いた脊髄領域のCSF 動態イメージング:健常者におけるflow pattern標準化の試み 

橋口雄助1, 小野敦2,3, 竹内一裕4, 中原進之介4, 三澤治夫4, 高畑智宏4, 村瀬研也3, 高田悟1, 吉崎紀雄1, 小橋泰之1, 岡田かおり1, 加藤大貴1, 久保田雄斗1 (1.光生病院 診療支援部放射線課, 2.光生病院 診療支援部, 3.大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻医用物理工学講座, 4.独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 整形外科)

【背景・目的】Time-SLIP法には、従来の非造影MR技術では捉えられない微弱な流れをその方向に左右されることなく描出可能な利点があり、脊髄疾患の病態解析に有用な非侵襲的診断ツールとなる可能性がある。本研究の目的は、正常例におけるTime-SLIP法を用いた脊髄領域のCSF flow評価の標準化について検討することである。【方法】対象は、当研究への同意を得た健常ボランティア30名である。MRI装置は東芝社製EXCELART Vantage Atlas 1.5Tを使用した。FASE Time-SLIP法を用い、対象とする脊髄領域をDouble IR法にて撮像し、同一断面を連続的に1時相ずつ撮像することにより選択的IR pulseが印加された領域のくも膜下腔CSF のin flow、out flowを画像化した。矢状断と冠状断の2断面を撮像し、各画像の単位時間あたりのCSF最大移動距離(Dmax)を計測した。計測部位は、C1 , C3, C6、Th1, Th4, Th7, Th10 levelの腹側・背側、右側・左側くも膜下腔およびL1, L3, L4 levelの腹側くも膜下腔とした。【結果】1)腹側・背側CSF:腹側・背側CSFの頭側・尾側方向の流れはそれぞれ異なるflow patternを示した。C1~Th1 levelの腹側CSFは背側に比較して頭側・尾側方向のDmaxが有意に大きく、Th4 levelでは反対に背側CSFが有意に大きくなる傾向を認めた。また、C1 levelでは腹・背側CSFともに、頭側よりも尾側方向のDmaxが有意に大きく、Th4~L4 levelでは、頭側向きが大きくなる傾向を認めた。2) 右側・左側CSF:右側・左側のCSFの頭側・尾側方向の流れは、同様のflow patternを呈した。Th10 levelを除き右側・左側CSFの各方向の流れに有意差は認められなかった。C3, C6 levelの右側・左側CSFはともに頭側方向へのDmaxが尾側方向よりも有意に大きく、Th1 levelでは反対に尾側向きが頭側向きに比較して大きくなる傾向を認めた。【考察】Time-SLIP法により、脊髄くも膜下腔のCSF flowは、各脊髄levelにて多様な動態を示すことが確認された。CSF flow patternの変化には、CSF循環にかかわる多くの現象が関与すると考えられる。今後、様々な条件下のCSF flowデータを収集し、特性を解析することにより標準化の精度を向上させることが可能と思われる。