[O-2-196] 頸部頸動脈プラークに対する3D-T1強調black blood MRI -iMSDE併用の有無におけるプラーク描出能の検討-
【背景,目的】頸部頸動脈プラーク評価に3D-T1強調black blood image(3D-T1BBI)は有用である.我々は過去に3D-T1BBIであるTHRIVE(T1 High Resolution Isotropic Volume Excitation),VISTA(Volume Isotropic Tse Acquisition)について検討し,血液信号の抑制が良好なVISTAが有用であると報告した.最近,VISTAにプレパレーションパルスとしてiMSDE(improved Motion Sensitized Driven Equilibrium)を付加することで,より血液信号が抑制され頸部頸動脈プラークの評価に有用であると報告されている.そこで今回我々は, iMSDE併用の有無における頸部頸動脈プラークの描出能について検討を行ったので報告する.【対象】2011年11月から2013年11月にiMSDE併用VISTA(以下iMSDE-VISTA)と従来のVISTA(以下VISTA)を撮像し,血管撮影検査で頸動脈狭窄が確認された45例.頸動脈狭窄率は,NASCETで平均63.8%.【方法】装置はAchieva 3.0T Qusar-dual(Philips),16ch NV Array Coilを用いた.iMSDE-VISTAは,VISTAと撮像時間が同等になるようにパラメータを設定した.血管内腔とプラークとの境界描出を独立した放射線技師2名により視覚的に評価しスコア化した.また,半定量的評価としてプラークと血管内腔とのコントラスト比およびプラークと筋肉との信号比を求め比較検討を行った.【結果】視覚的評価では,血管内腔とプラークとの境界描出でVISTAの方が有意に優れていた(p<0.05).半定量的評価では有意な差は認められなかった(p=0.185).また,筋肉との信号比においても有意な差はみとられなかった(p=0.426).【考察】視覚的評価でVISTAが優れていたのは,撮像パラメータ(ボクセルサイズ,TSE factor)の違いにより,iMSDE-VISTAで画像上ボケを生じたためと考えられる.頸動脈分岐部に狭窄を認めない場合,VISTAでは血流の影響により血液信号が抑制されにくいためiMSDEの併用が有用であると思われるが,今回の検討(頸動脈狭窄)においては,その影響が少なく両者に差が認められなかったと考えられる.【結論】今回の撮像パラメータ(同等の撮像時間)において,頸部頸動脈プラークの描出能はVISTAで優れていた.