第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

MRE

MRE

Fri. Sep 19, 2014 3:40 PM - 4:10 PM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:菅幹生(千葉大学 フロンティア医工学センター)

[O-2-197] 肩部MRエラストグラフィを実施するための技術開発

伊東大輝1, 沼野智一1,2,3, 大西孝明1, 水原和行4, 高本考一5, 西条寿夫5, 本間一弘3 (1.首都大学東京 健康福祉学部放射線学科, 2.首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線科学域, 3.産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 4.東京電機大学工学部, 5.富山大学医学薬学研究部)

【目的】本研究の目的は, MRエラストグラフィ(MRE)を用いて棘上筋の弾性率を計測するための撮像パラメータを検証することにある. 棘上筋はローテータカフと呼ばれる筋肉の一つで, 肩関節を固定する役割を持ち, 肩の筋肉の中でも非常に重要な役割を担う. また, 棘上筋は野球などのスポーツ障害も起こしやすいことで知られている. 触診は疾患状態の把握に有効的であるが, 棘上筋は僧帽筋の下層に位置するため, 直接触診できない場合が多い. MREは非侵襲的に体の深部にある組織の弾性率計測が可能であり, その情報は診断に役立てられる可能性が大いにある. そこで, 今回はMREを棘上筋に適用するための撮像条件の検討を行ったので報告する. 【方法】効率的な肩部への振動を実現するために, 適切な形状の振動パッドを3Dプリンタで造形し, 加圧式肩部サポーターを用いて固定した. 振動源は音圧式加振器を利用し, 振動周波数は50および75Hzとした. 撮像シーケンスはグラディエントエコー型マルチエコー法を使用した. 本手法は周波数エンコードがMSG(motion sensitizing gradients)の役割を担う. 撮像断面は棘上筋の観察が容易な斜位冠状断面とし, 周波数エンコードをAPおよびHF方向それぞれに設定した.【結果・考察】本システムによって, 肩部(棘上筋)のMRE実施が可能であることを実証した. 得られたwave imageから加振波の動静を比較すると, 振動周波数を50および75Hzのどちらを選択した場合においても, 棘上筋に加振波が伝播していた. 振動周波数が高くなるほどelastogramの空間分解能は向上するため, 75Hzが棘上筋のMREに適した振動周波数である可能性が高い. また本手法は周波数エンコード方向に振動の感受性を持つため, 周波数エンコードの選択によってwave imageで描画される振動のパターンが変化する. そのため, それぞれの周波数エンコードを選択して撮像する必要があると考えられる. 【結論】棘上筋のMREでは75Hzが適した振動周波数である可能性が高く, 周波数エンコードは2方向両方の撮像が望ましい. 2方向撮ることで, それらを加算平均した画像も作成可能となる. 今後は, 現段階では検証していない撮像パラメータの確立をはかる.