RFシム

[O-2-205] 頭部領域における4チャンネル-4ポート独立制御RF照射コイルにおける照射均一度とSAR

^〇横瀬正知, 伊藤公輔, 立花美紀, 堀尾秀之, 長嶋克成, 五月女悦久, 森分周子, 瀧澤将宏 (株式会社日立メディコ　MRIシステム本部)

【目的】高磁場MRI装置では、照射RFパルスの波長が短いため、照射均一度が低下することと、SARの増加が問題となる。照射均一度を向上するため、多チャンネル照射コイルでRFシミングが行われている。従来は照射均一度を最適化していたが、SARについても合わせて最適化することを目的とした。今回、照射均一度の向上とSAR低減を両立する目的関数の検討と画像への影響について検討したので報告する。
【方法】使用装置は株式会社日立メディコ社製3T MRI装置とし、4チャンネル-4ポートのRF照射コイルシステムを開発した。この照射コイルシステムでは、4ポートのRF出力を独立に調整できる。本システムを活かし、照射均一度を向上し、SARが小さくなるようなパラメータを算出する目的関数を検討した。目的関数に、照射均一度とSAR低減の項を設定し、各項の重み付けを最適化した。評価は照射均一度、SAR低減、画質評価とした。従来の目的関数との比較を行った。頭部領域において、本検討の意義を説明し、同意を得たボランティアを撮像した。照射均一度の評価はB1マップより算出し求めた。SARは装置により計測される値を用いた。画質評価は視覚評価にて実施した。体型に応じて、照射均一度は変化し、それにより画質への影響度合いが異なると予想されるため、大・中・小と体型の異なるボランティアを選定した。なお、検討に用いた画像種はFLAIR、脂肪抑制T1強調画像、T2*強調とした。
【結果】従来の目的関数と比較し、今回検討した目的関数による、照射均一度の低下は平均7.2％であった。視覚評価による画像評価は差がなかった。SARは平均18％低減した。今回検討した目的関数では、SARが低減するようなRFシミングパラメータを選定することで、照射均一度を維持しつつ、画質への影響は見られないという結果が得られた。