第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

圧縮センシング-基礎

圧縮センシング-基礎1

Fri. Sep 19, 2014 3:00 PM - 3:40 PM 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:伊藤聡志(宇都宮大学大学院工学研究科 情報システム科学専攻)

[O-2-231] 圧縮センシングにおける位相エンコードのランダム性と画質との関係

園川龍也1, 山本悦治2 (1.千葉大学大学院 工学研究科, 2.千葉大学 フロンティア医工学センター)

【目的】MRIへ圧縮センシング(CS)を適用すれば,画像再構成に必要なデータ量を20~30%程度にまで低減でき,その効果を他の性能向上に振り向けられる.しかし,実機を用いてCSの適用性を調べることは多大な労力を要する.今回,画像シミュレータを用い,位相エンコードのランダム性と画質との関係について検討したので報告する.
【方法】CSでは計測データがランダム性を持つならば,スパース性を導入することで少ないデータからでも画像を復元できる.特に,k空間を直交座標系で計測する場合,ランダム性は位相エンコードを間引くことで実現できるが,ランダム性と画質との関係についての詳細な報告例はなかった.そこで画像コントラストを決定するk空間の中心部は常に選択することとし,残りの位相エンコードの選択法に関して検討した.画像マトリクスは256×256,中心部の固定エンコード数は38とし,残りの218エンコードをガウス関数の確率密度で半値全幅100と200の乱数により選択した場合,一様乱数により選択した場合を比較した.選択データ量はフルデータの30%に設定した.異なる系列の乱数で生成した10通りのエンコードに対し,系列相関及び連検定を用いてランダム性を評価した.画質の評価指標には平均二乗誤差(RMSE),Structural Similarity (SSIM),信号雑音比(SNR),鮮鋭度(エッジ部傾き)を選んだ.数値モデルには人体頭部モデル(一辺が2mmの立方体,(独)情報通信研究機構)を使用した.
【結果】いずれの指標も系列相関と連とで同様な傾向となったので,系列相関に絞って述べる.RMSEは(a)半値全幅100と(b)半値全幅200のガウス関数の場合にランダム性と強く相関したが,(c)一様乱数では正の相関は認められなかった.平均RMSE値は(a)(c)(b)の順に小さくなり,(b)は(a)に比べ約18%低下した.SSIM及びSNRは(a)の場合に正の相関を示したが,(b)(c)では正の相関は認められなかった.鮮鋭度は(a)(b)では正の相関を示し,(c)では正の相関は認められなかった.平均鮮鋭度は(b)(c)が(a)に比べ約3%向上した.
【結論】CSにおける画質は,位相エンコードのランダム性とk空間の低波数域の選択とに依存することが分かった.