第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

圧縮センシング-基礎

圧縮センシング-基礎2

2014年9月19日(金) 15:40 〜 16:30 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:町田好男(東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻画像情報学分野)

[O-2-235] Multi-scale eFREBAS変換を利用した圧縮センシング

伊藤聡志, 伊東賢治, 山田芳文 (宇都宮大学大学院工学研究科 情報システム科学専攻)

【目的】 圧縮センシングをMRIに応用する場合に,一般に画像に対しスパース性を与える関数が必要となる.我々が提案するeFREBAS変換は展開スケールを自由に設定できるため,計測行列とのインコヒーレント性を高く設定できる可能性がある.本研究ではスケーリング係数を再構成の反復処理の中で逐次的に変更する方法について検討を行い,他法と比較を行うことを目的とする.
【方法】 計測行列とスパース性導入関数とのインコヒーレンス性が再生像の品質に依存する度合いを大きくするために再構成アルゴリズムの評価関数に全変動等を使用せず,反復的ソフト閾値法の一種であるSpaRSA[1]を使用した.eFREBAS変換[2]のスケーリング係数Dは, 3から11まで変更する提案法,およびカーブレット,ウェーブレットを使用する方法とで比較を行った.
【結果】 被験者の同意を得て得られたボランティア画像を利用して画像再生シミュレーションを行った.画像はマトリクスサイズが256×256であり,8種類のMR画像を使用した.エコー信号は,まず,実画像をフーリエ変換し,その後に位相エンコード方向に信号の収集密度がガウス分布状に比例するようにランダムな間引きを行った.信号量を25%とした場合,提案法,カーブレット,ウェーブレットを使用した各方法の再生像PSNRは,それぞれ28.3, 27.6, 24.6であった.また,再生像は構造的にも目標とする像に最も近い画像が得られた.
【結語】 スパース性導入関数にeFREBAS変換を利用し,かつそのスケーリング係数を多重に利用する方法は,信号の収集軌道とスパース性導入関数のインコヒーレンス性を高く設定できるため,カーブレット変換,ウェーブレット変換を使用する場合に比べてアーティファクトと再生誤差の小さい画像が再生されることを確認した.
【文献】[1] SJ Wright et.al, IEEE Tran Sig Proc, 5 : 2479-2493, 2009 [2] 伊藤他,信学, J93-D: .999-1008, 2010