第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

造影剤-基礎

造影剤-基礎1

2014年9月19日(金) 09:30 〜 10:20 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:森勇樹(大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 生体機能イメージング)

[O-2-241] 定量的透磁率マッピングにおける高解像度空間双極子場の影響

梅本勇哉, 上野智弘, 杉本直三 (京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻)

【背景・目的】定量的透磁率マッピングはMRIの位相データを用いて組織内の透磁率を非侵襲的かつ定量的に求める方法である。組織内では強磁性体である鉄の含有量が透磁率に大きく寄与しているため、透磁率の測定により、組織内の鉄沈着量を評価できる。透磁率マップは、位相データから計算した磁場摂動マップから空間双極子場を逆畳み込みすることで得られる。この空間双極子場には原点付近において急激に値が変化する領域が存在する。しかし、コンピュータ上では離散化が行われるため、その性質を十分に捉えることが出来ず、透磁率マップの質の低下につながる[1][2]。そこで私たちは透磁率マップの質を向上させるために、高解像度の空間双極子場を用いて逆問題を解く方法を提案し、シミュレーション実験において検証した。
【方法】サイズ(24)3の磁場摂動画像を部分容積効果を含むように、サイズ(24×9)3の画像からシミュレーションで作成した。作成した磁場摂動画像を最近傍補間法でn倍に補間し、サイズ(24×n)3の解析的に作成したフーリエ変換後の空間双極子場と逆畳み込みを行って、サイズ(24×n)3の透磁率マップを作成した。n=1~9と変化させ、得られた透磁率マップの比較を行った。
【結果・考察】n=2~9において、n=1では区別できなかった小さな構造を見出せた。また、得られた小さな構造の透磁率の値は空間双極子場の解像度を高い倍率に上げる程、設定した値(正解値)に近くなった。しかし、その値の近づき方は、空間双極子場の解像度の倍率の上昇に比して小さく、高倍率ではほとんど変化しなかった。これらの結果から、n=2~9の透磁率マップがより高解像度化されていることを示し、また一部の領域における透磁率の正解値への近づき方から、適切な空間双極子場の倍率が存在することを示唆した。
【結論】最近傍補間法で補間した磁場摂動画像と高解像度化した(n=2~9)空間双極子場を用いて逆問題を解くことで、より質の高い透磁率マップが得られる。
【文献】[1] Murashima et al. EMBC Conf Proc. (2013) 1049-1052. [2] Murashima et al. ISMRM Conf Proc. (2013) 2481.