[O-2-246] Time-lapse MRIによるダイナミックな脳内細胞動態追跡の検討
【背景・目的】脳をはじめとする中枢神経系は免疫特権の器官と考えられてきたが、最近の研究では、多発性硬化症など中枢神経系の自己免疫疾患と考えられている疾患はもとより、正常脳でも神経系と免疫系は相互に関与していることが示されつつある。しかしながら、免疫細胞が病態形成や治癒、また正常時の脳機能維持にどのように作用しているかは未だよくわかっていない。我々は、超高磁場11.7テスラMRI装置と磁性酸化鉄粒子(SPIO)を用いることで、正常・病態モデルマウス脳内における細胞動態観察が可能であることを報告した(第40回日磁医会P-3-239)。本研究では、よりダイナミックな細胞動態観察を実現するため、時空間分解能を向上させ、MRIを用いた細胞動態追跡のためのタイムラプス解析を試み、その可能性について検討した。
【方法】雄性C57BL/6マウスを対象に、SPIOを尾静脈より投与した。SPIO投与後16時間後より20分間隔で、T2*強調2D-FLASH(TR/TE=500/4ms)を24時間連続撮像した。正常および病態マウス脳における細胞動態の違いを、タイムラプス動画を作製し観察、比較した。MRIシステムはBruker社製11.7T、m2m社製内径15mmボリュームコイルを用いた。MRI撮像中は、イソフルラン麻酔下にて呼吸数を80±20回/分に維持し、温水チューブを用い体温を保持した。撮像中の脱水予防のため、MRI撮像直前に生理食塩水を皮下投与した。
【結果・考察】得られた時系列MRI画像からタイムラプス動画を作製することにより、マウス生体脳内の免疫細胞のダイナミックな動きを視覚的に評価可能であることが示された。タイムラプス動画を用いることで、5μm/分程度のゆっくりとした動きの細胞や、長時間一定の場所に留まる細胞などの存在を1細胞レベルで視覚化することが可能であった。生体内における免疫システムの機能の理解を深めるためには、より深部組織において細かな細胞動態を可視化する革新的な技術が必要となる。高感度MRIとSPIOを使った生体内細胞標識法により1細胞レベルのダイナミックな細胞追跡を可能にし、中枢神経系の恒常性維持や病態形成、治癒における免疫細胞の作用機序を解明する新しい情報を提供することが期待できる。
【方法】雄性C57BL/6マウスを対象に、SPIOを尾静脈より投与した。SPIO投与後16時間後より20分間隔で、T2*強調2D-FLASH(TR/TE=500/4ms)を24時間連続撮像した。正常および病態マウス脳における細胞動態の違いを、タイムラプス動画を作製し観察、比較した。MRIシステムはBruker社製11.7T、m2m社製内径15mmボリュームコイルを用いた。MRI撮像中は、イソフルラン麻酔下にて呼吸数を80±20回/分に維持し、温水チューブを用い体温を保持した。撮像中の脱水予防のため、MRI撮像直前に生理食塩水を皮下投与した。
【結果・考察】得られた時系列MRI画像からタイムラプス動画を作製することにより、マウス生体脳内の免疫細胞のダイナミックな動きを視覚的に評価可能であることが示された。タイムラプス動画を用いることで、5μm/分程度のゆっくりとした動きの細胞や、長時間一定の場所に留まる細胞などの存在を1細胞レベルで視覚化することが可能であった。生体内における免疫システムの機能の理解を深めるためには、より深部組織において細かな細胞動態を可視化する革新的な技術が必要となる。高感度MRIとSPIOを使った生体内細胞標識法により1細胞レベルのダイナミックな細胞追跡を可能にし、中枢神経系の恒常性維持や病態形成、治癒における免疫細胞の作用機序を解明する新しい情報を提供することが期待できる。