第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

ハードウエア

ハードウエア1

Fri. Sep 19, 2014 1:40 PM - 2:20 PM 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:山本徹(北海道大学大学院保健科学研究院 医用生体理工学分野)

[O-2-256] 頭部用局所シムコイルの初期検討

岩澤浩二郎, 大竹陽介, 越智久晃 ((株)日立製作所 中央研究所)

【目的】副鼻腔近傍の前頭前皮質には,局所的に数ppmの静磁場(B0)不均一がある。これに対して,頭部近傍に設置する局所シムコイルが提案されている[1]。一般に,B0に平行に配置した局所シムコイルではB0方向に作る磁場分布は脳表ほど強くなるため,副鼻腔近傍のような深部のみに局所分布を作るには多数のチャネル(ch)が必要となる。一方,B0に垂直に配置したコイルはピーク位置を中心軸上に設計できるが,対象スライスまでの距離で分布が広がるため局所分布を作ることが難しい。そこで本検討では,少ないch数で局所的な磁場分布を生成することを目的にB0に垂直に配置した二重同心円状の2chシムコイルに逆電流を流すことを提案し,計算・実験の両面から確認したので報告する。
【方法】本検討では,水平磁場において副鼻腔に隣接する前頭前皮質を含むアキシャルスライスを対象スライスとした。対象スライスから125mmの頭頂面上に二重同心円状のシムコイル(直径53mm, 124mm, 巻数100)を配置した。外円が作る磁場ピークを,内円のそれより絶対値を小さく向きを逆にすることで,内円の作るピーク磁場を残しつつ辺縁の分布を打ち消して効率よく分布を局所化することができる。比較として,同じ頭頂面に配置した単一円形コイルの直径を変化させ,対象スライスに作る磁場分布の最小の半値全幅(FWHM)及び平行配置の2chシムコイルのFWHMを計算した。また,1.5T MRI装置(Echelon Vega,日立メディコ製)において3D RSSGを用いて内円,外円コイルにそれぞれ0.432A, -0.088Aの電流を流し磁場分布を計測した。ファントムにおいて磁場のon/offの位相画像から磁場分布を算出した。
【結果】垂直配置単一コイルの局所限界,平行配置2ch,垂直配置二重同心円2chのFWHMはそれぞれ120mm, 133mm, 86mmとなり提案の局所シムコイルは少ないch数で高い局所性を実現した。また,内円と外円の電流比を調整することで磁場分布の局所性を制御できることを計算において確認した。この2chは装置内蔵のシムコイルと組み合わせて使用することが可能であり,低コストに頭部のB0均一度を向上できることが示唆された。
[1] C. Juchem et al., JMR 2011;212;280.