第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

安全

安全

Fri. Sep 19, 2014 3:50 PM - 4:40 PM 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:宮地利明(金沢大学医薬保健研究域 保健学系)

[O-2-271] 不均一励起を改善するRFパルスの設計および異なる磁性の金属インプラント体に対する効果の検証

禹泰城1, ドンミン キム1,2, 染谷隆夫1,2, 関野正樹1,2 (1.東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻, 2.JST ERATO 染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト)

【背景】MRIの測定対象が金属を含む場合、RF磁場強度の不均一や減弱が生じることによって、金属付近でのSN比が低下し、画像の定量的評価も困難になる場合がある。測定したい領域の近傍に金属インプラント体などがある場合は特に、金属周囲の信号を均一に得る手法が求められる。
【目的】本研究では、Bloch方程式の逆解析にもとづくRFパルスの設計を行い、金属インプラント体の近傍における信号不均一を改善する。反磁性金属の銅と、常磁性金属のアルミニウムを試料として、設計したRFパルスの効果を実験的に評価する。
【方法】磁化の運動を表すBloch方程式を離散化すると、行列の方程式に整理することが可能である。RF磁場とスパイラル傾斜磁場を同時に加える系において、パルス照射後に実現したい巨視的磁化の空間パターンを与えて、それを実現するためのRF磁場の波形を逆に解析する。測定対象が含む金属に起因する不均一な信号分布が均一化するように、巨視的磁化の空間パターンを指定し、RFパルスの設計を行った。
金属としては、反磁性体である銅と常磁性体であるアルミニウムの2種類の金属を用い、これらを板状に成形してアガロースゲルに埋め込み、サンプルとした。設計したRFパルスを用いて撮像を行い、金属近傍での信号強度を評価した。
【結果】銅を含む測定対象に対して、設計したRFパルスを用いて撮像を行った結果、銅の近傍の信号強度が均一化された。また、サンプル内でRF受信用コイルから離れた位置での信号減衰が回復される効果も認められた。
次に、アルミニウム板をゲルに挿入し、信号強度回復の評価を行った結果、銅に比べ信号消失が生じた領域が広かったが、信号強度が回復し信号消失の領域が減少した結果が得られた。2種類の金属を比較すると、銅を使用したサンプルにおいて、設計したRFパルスの効果がより高かった。
【結論】金属を含む測定対象のMRI撮像時に生じる信号強度の不均一と減弱を改善するRFパルスの設計を行った。設計したRFパルスをMRIに印加した結果、反磁性体である銅と常磁性体であるアルミニウムを含むゲルに対し、金属近傍の信号強度が均一化及び回復されたため、本手法は有効であると考えた。