[O-2-272] 中部・南海地区におけるMR検査室の防災対策の現況調査 -緊急地震速報導入の現状などについて―
【背景・目的】平成23年3月11日に発生した東日本大震災で被災したMR装置に関連してなされた東北・関東7県の「MR装置の被災調査アンケート」において、MR装置の約半数が検査中であり、患者の避難に緊急地震速報の有用性が確認された例があった。そこで、「南海トラフ巨大地震」の発生が予測されている中部・南海地区10県(静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県、岐阜県、福井県、石川県、富山県)に緊急地震速報を含むMR検査室の防災対策などの現状を把握するアンケート調査を実施し、今後の大地震に対する防災対策の一助とすることを目的とした。【方法】東日本大震災の教訓から,津波からの確実な避難という視点で緊急地震速報の重要性を考えたアンケート内容とした。896施設にアンケートを送付し、325通(36.2%)を回収した。選択枝の設問については,各々の設問に対する各県と全県の度数をグラフに纏めた.緊急地震速報の導入の背景となる要因(施設規模・建屋構造・海抜・河口からの距離)についてカイ二乗検定で検討を行った. 【結果】施設の基本状況は以前のアンケート結果と概ね似ていた。東日本大震災でMR装置が浸水被害を受けた施設は海抜13m以下、海岸から2.5km以内に位置しており、これに相当する施設の割合は静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県でそれぞれ5.9%、14.3%、18.5%、50.0%、35.7%、27.3%であった。院内全館の緊急地震速報が導入されていたのは325施設中41施設(12.6%)で、施設規模の大さとの関連が示唆され、インフラ整備のし易さに依存している可能性があった。また、緊急地震速報を活用したMR検査室の地震防災訓練を行っていたのは41施設中8施設(19.5%)であった。【結論】今後、緊急地震速報の普及を図ることがMR検査室を含めた病院全体の震災対策に役立つと考えられるが、院内全館の緊急地震速報のインフラが整うまでは、緊急地震速報を受信できる個人の携帯電話を利用して緊急地震速報の情報を得ることが推奨される。また、これを用いることを前提としたMR検査室の地震防災訓練を定期的に行うことが推奨される。