[O-3-284] 3D-ASL健常データベース作成の試み : ラベル後待ち時間と局所脳血流量
【目的】一昨年の当学会にて我々は、脳核医学で用いられている統計学的画像解析がMR脳潅流画像(3D-ASL)に適応可能であることを報告した。当時、3D-ASL撮像条件の一つであるラベル後待ち時間(post lebeling time: PLD)は1.5秒あるいは2.5秒にしか設定できず、これらの設定で作成した健常者データベース(NDB)では血流の未到達や洗い出しによる相対的低灌流が認められ、臨床適応時への問題点の一つとして認識された。今回バージョンアップでPLD2秒も設定可能となったため、改めてPLD2秒でのNDBを作成し1.5秒、2.5秒での健常者データと比較・検討した。【対象】健常者10名、男性5名 女性5名 年齢50~75才(平均64.5才) 【方法】MR装置: 3TMR装置 GE社製Discovery MR750 3.0T、使用コイル:Head Neck Spine array coil。ASLシーケンス:pulsed continuous ASL、FOV:24 cm、データ収集方法:Spiral scan、Arms: 8、Point: 512、NEX: 3、Effective Resolution: 3.64mm、スライス厚4mm、ラベル時間: 1450ms、ラベル後待ち時間(PLD): 2秒、TR/TE=4806ms/10.6 、撮像時間: 4分39秒 。評価方法: 脳核医学解析ソフトウェア NEUROSTAT 3D-SSPにて局所脳血流値を算出、VOIClassicテンプレート解析を使用してPLD2秒での脳血流量測定値(全脳・全大脳皮質・脳領域18箇所)を前回作成した1.5秒と2.5秒での測定値と比較した。【結果】PLD2秒の設定では、1.5秒の設定での頭部遠位領域の相対的低灌流、PLD2.5秒での深部灰白質領域の相対的低灌流が緩和された。3D-SSP解析ではPLD2秒でも頭頂部には僅かな相対的低灌流が残存した。【結語】3D-ASLではPLDを2秒に設定することで基底核域や脳遠位部での血流過小評価をより軽減した健常者データベースが作成できた。