[O-3-285] 磁気共鳴流体力学に形体画像として用いる磁気共鳴血管撮像データの位置ずれ改善とその効果
【背景・目的】脳血管の血管壁せん断応力(WSS)を正確に求めるには、血管内速度ベクトルと血管壁の位置を正確に求める必要がある。3D cine PC MRIと3D TOF MRAを用いた磁気共鳴流体力学(MRFD)において、両者に空間的位置ずれが生じるため、WSSを正確に求めるには3D TOF MR angiogramを3D cine PC MR画像にレジストレーションする必要がある。本研究の目的はOsirixソフトウエアの位置調整機能を用いて両者をレジストレーションした時に、流量やWSSが正確に求められるか否かを流体ファントムで検証すると共に、ヒトデータでも同様の処理を行い、その効果を確認することである。【方法】ポンプで模擬血流を定常流で流したシリコン製の内径3mmのY字型ファントムとシリコン製ヒト脳血管ファントムを本研究に用いた。これらを3T MR装置の3D TOF MRAと3D cine PC MRIで撮像し、得られた3D TOF MR angiogramをOsirixを用いて3D cine PC MR画像にレジストレーションした。血流解析ソフトFlovaを用い、3D cine PC MR画像から得られるrephased imageまたは、レジストレーション前後の3D TOF MR angiogramを形体画像とし、内径3mmのY字型ファントムでは時間平均流量・WSS、脳血管ファントムでは各血管の時間平均流量とWSSを解析した。これらの時間平均流量・流速の解析値はコリオリ式デジタル流速計実測値と比較した。また、WSSの解析値は、Y字型ファントムでは理論値と比較し、脳血管ファントムではWSSの偏りを評価した。ヒト脳血管データを用いたMRFDで同様に3D TOF MR angiogramのレジストレーション前後で位置ずれ修正の効果を確認した。【結果】Y字型ファントムの時間平均流量・WSSはレジストレーションによる位置ずれ修正により改善した。脳血管ファントムにおいてもレジストレーションにより時間平均流量が改善するとともに、WSSの空間的分布はレジストレーション後で偏りが改善された。ヒト脳血管データを用いたMRFDでもWSSの空間的分布はレジストレーション後で偏りが改善された。【結論】3D cine PC MR画像にレジストレーションした3D TOF MR angiogramを形体画像に用いたMRFDで、流量やWSSが正確に求められることが確認できた。