第42回日本磁気共鳴医学会大会

Presentation information

一般演題

灌流-基礎

灌流-基礎

Sat. Sep 20, 2014 11:20 AM - 12:10 PM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:掛田伸吾(産業医科大学 放射線科学教室)

[O-3-286] 脳血管を対象とした磁気共鳴流体力学の精度検証

礒田治夫1,2, 市川和茂2,3, 福山篤司2, 小森芳秋4, 小杉隆司5, 大西有希6, 竹原康雄7, 長縄慎二8 (1.名古屋大学 脳とこころの研究センター, 2.名古屋大学大学院医学系研究科, 3.名古屋大学医学部附属病院, 4.シーメンス・ジャパン, 5.(株)アールテック, 6.東京工業大学, 7.浜松医科大学医学部附属病院, 8.名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻)

【目的】脳動脈瘤の発生、成長、破裂に血流動態は重要な働きをしており、この評価は重要である。3D cine PC MRIで得たデータを基にした磁気共鳴流体力学(MRFD)は脳血流動態を評価する方法として有望である。このため、MRFDの精度検証として、内径3.1 mm直管ファントムと脳血管ファントムを用いたMRFDの血流動態と血管壁せん断応力(WSS)の精度検証を行った。【方法】内頸動脈(ICA)から中大脳動脈(MCA)の血管径を模擬した内径3.1 mm直管ファントムに模擬血液を時間平均流量2.50 ml/secの定常流で循環させ、3T MR装置を用い、3D cine PC MRIを施行した。血流解析ソフトFlovaを用いて得られた時間平均流量、WSSの解析値をそれぞれコリオリ流量計で得られた実測値、理論値と比較した。ヒトデータの研究は左ICA、左前大脳動脈(ACA)、左MCA、左内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤(IC-PC An)からなる脳血管ファントムに模擬血液を定常流で循環させ、3TのMR装置を用い、3D TOF MR angiogramを形体画像とするMRFDを施行した。この時、ICAの時間平均流量は7.59 ml/sec、4.63 ml/sec、2.84 ml/secの定常流となるように設定した。得られたICA、ACA、MCAの時間平均流量の解析値を流量計で得られた実測値と比較した。また、流量計の値を境界条件とし、 3D TOF MR angiogramを形状に用いたCFDも行い、ICAとIC-PC Anにおけるx、y、z方向の流速及び3軸合成速度とWSSの解析値をCFDから得られた基準値と比較し、相関を求めた。【結果】直管ファントムの時間平均流量、WSSの相対誤差はそれぞれ4 %、6 %であった。脳血管ファントムのICA、ACA、MCAの時間平均流量の相対誤差は10 %~30 %であった。ICAにおける流速及び3軸合成速度の相関係数は0.60~0.94、WSSの相関係数は0.68~0.72であった。一方、IC-PC Anにおける流速及び3軸合成速度の相関係数は0.58~0.94、WSSの相関係数は0.34~0.63であった。【結論】直管並びにヒト脳血管ファントムを用いてMRFDの精度検証を行ったところ、時間平均流量の測定精度は比較的良好であった。また、MRFDのWSSの測定精度はIC-PC Anでは不良であったが、直管ファントムや脳血管ファントムのICAでは良好であった。