[O-3-287] 3D cine Phase Contrast MRIを用いた脳動脈瘤流体解析でのVelocity Encodingの違いによるInflow zoneの比較
【背景・目的】未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術において動脈瘤のInflow zoneの位置の同定は術者にとって有益な情報となり得る。我々は術前に3D cine Phase Contrast MRIを用いて脳動脈瘤の流体解析を行っている。我々は当初、文献を参考にVelocity Encoding (VENC)を100×100×100cm/sで設定していたが、低頻度ではあるが解析時に母血管において折り返しアーチファクトを経験しVENCの設定を150×150×150cm/sに変更して折り返しアーチファクトは減少した。同一症例においてこれらのVENCの設定条件がInflow zoneの位置の同定及び瘤内への血流速度に違いが生じるか検討を行った。【方法】使用機器はIngenia 3.0T(PHILIPS)、流体解析ソフトはFLOVA(アールテック)。対象は2012年5月~2014年4月の期間に3D cine Phase Contrast MRIを撮像した未破裂脳動脈瘤のうちVENC100×100×100cm/sと150×150×150cm/sの両方を撮像した8例(MCA4例、ICA2例、ACA1例、BA1例)。それぞれの撮像日は異なるがMRI所見は著変なし。動脈瘤頸部横断面におけるInflow zoneをそれぞれのVENCについて解析し、inflow zoneの位置を脳神経外科医2名によって視覚的に評価しスコア化した。また、Inflow zoneの血流速度についても比較検討を行った。【結果・考察】視覚的評価は8例すべてにおいてVENCの違いによるInflow zoneの位置に差は認められなかった。また、血流速度についても大きな差は認められなかった。したがって母血管での折り返しアーチファクト出現頻度を考慮するとVENC150×150×150cm/sのほうが良いと考えられる。【結論】VENC100×100×100cm/sと150×150×150cm/sでは、Inflow zoneの同定および瘤内への血流速度に差は認められなかった。