[O-3-294] 灌流ファントムにおけるIntravoxel Incoherent Motion(IVIM)のperfusion fraction,D,D*算出傾向の検討
【目的】IVIMは,ボクセル内の水分子の拡散と毛細血管内の灌流を反映した手法である.IVIMでは,灌流がRegion of interest(ROI)内全体に占める割合を示すf p(perfusion fraction)と,灌流による拡散係数D *(pseudo diffusion coefficient),見かけの拡散係数D(apparent diffusion coefficient)を算出可能であるが,これまでf p, D *, Dの正確性を検証した報告はない.本研究では,自作ファントムを用いてIVIMのf p,D *およびDの算出傾向を調べた.【方法】測定装置は,Philips Ingenia 3.0Tを使用した.ファントムは,自由拡散を模擬したPVAゲル槽に,灌流を模擬した蒸留水を流すチューブを配置し,スピンエコー型EPI法による拡散強調画像で撮像をおこなった.ROIは,撮影画像内の自由拡散部分および灌流部分を含むように設定し,ROIサイズを変更することにより,それぞれの割合を変化させた.灌流部分は,流速を0~0.7 ml/secに変化させ撮像を行った.撮像条件は,TR = 4000 msec,TE = 70 msec,reduction factor = 2.0,field of view(FOV) = 240 mm × 240 mm,matrix = 176×174,b factor= 0/10/25/50/75/100/150/200/400/800/1000 s/mm 2, scan time = 3:48とした.解析は,MATLABで作成した自作ソフトを用い,測定値を最小二乗法により,以下のbi-exponential式(1)でフィッティングを行いf p, D, D *を算出した.S b/S 0=f pexp(-b D *-bD)+(1-f p)exp(-bD)…(1) (S 0, S b:b-0および任意b値の信号値)【成績】PVAゲルはmono-exponential減衰を示しADC = 1.9×10 -3 mm 2/sであった.また,灌流部のみではbi-exponential減衰を示し,流速を高くするにつれてD *は大きくなり比例関係を示した.両者を組み合わせた場合,D *は灌流部の流速の増加に比例し増加した.ROIに対し灌流部の割合が少なくなると流速が同じであってもD *はやや少なく算出される傾向にあった.f pは,流速による変化はなく一定だった.また灌流部の割合が増加するとf pも増加傾向を示した.Dは灌流部の流速,割合に関係なく,ほぼ正確に算出された.【結論】灌流ファントムにおけるf pおよびD *の傾向が掴めた.