第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

心臓

心臓2

2014年9月20日(土) 10:40 〜 11:20 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:長尾充展(九州大学大学院 臨床放射線科学分野 分子イメージング・診断学講座)

[O-3-296] 当院における心臓MRIの初期成績

山田雅昭1, 金田耕治1, 田村博文1, 東海林綾1, 中川正康2 (1.市立秋田総合病院 放射線科, 2.市立秋田総合病院 循環器内科)

【背景】近年Balanced TFE法やSENSE法による撮像時間の改善と新たな同期法の導入等により、心臓MRIは目覚ましい発展を遂げている。当院では本年3月に機器更新を行い、ようやく心臓MRIが施行可能な機器が導入された。【目的】心臓MRI検査における左室機能解析の再現性と冠動脈MRAの画質について、当院の初期成績を検討した。【方法】健常ボランティア18名を対象とし、非造影心臓MRI検査にてCINE法とWhole Heart Coronary MRA(WHCA)法による撮像を行った。左室機能解析における再現性の評価は、心臓MRI検査に従事する放射線技師2名により完全盲検下にて解析を行い、検者間の差異の有無を比較検討した。また冠動脈MRAについては、左前下行枝(LAD)と左回旋枝(LCX)及び右冠動脈(RCA)の3枝それぞれのCurved Planar Reconstruction(CPR)像を作成し、心臓MRIに従事する医師1名と放射線技師2名の協議による視覚的な画像評価を行い、良好:3点、評価可能:2点、評価困難:1点、評価不能:0点の4段階にスコア化して評価を行い比較検討した。【結果】左室の描出は全例で良好であった。左室容積や左室駆出率、左室心筋重量等の計測および算出は容易であり、各指標の相関はいずれもr=0.99 (p<0.001)と良好な有意な正の相関を示し、検者間の差異は無視しうるものであった。冠動脈MRAの画像スコアでは、LCX(1.61±0.61)はLAD (2.33±0.59 )、 RCA(2.28±0.46)と比較して有意に低値であった。RCAでは全例が判定可能以上で3枝の中で最も良好な画像が得られた。LADでは1名がごく少量の心嚢液の影響で末梢が観察できず判定困難であった。LCXは最も画像が不良であり、6名が判定困難・不能であった。【結論】左室機能解析については高い再現性が確認されたが、今後他のモダリティとの比較や臨床的意義について検討を要すると考えられた。また冠動脈MRAについては左回旋枝の画質に問題があり、撮像方法や画像作成法にさらなる検討を要すると考えられた。