[O-3-302] RF磁場不均一を考慮したMRI拡散強調高速画像シミュレータの人頭モデルへの適用
【目的】これまで開発したMRI拡散強調高速画像シミュレータでは，RF磁場不均一を考慮していなかった[1]．この理由は高速法の一部が適用困難になるためである．今回，全ての高速法を適用可能とし，ヒト頭部モデルに適用したので報告する．【方法】改良点は，(1)フリップ角がπを超えるRF磁場による横磁化の位相反転の処理，(2)MPGにより位相分散した磁化に対して，RF磁場の印加により生じる磁化の周期的振動の処理である．数値モデルは一辺が2mmの立方体からなり，そこから176×190mm2の断面を切り出した．組織は灰白質，白質，脳脊髄液とし，各々に緩和時間と拡散係数を割り当てた．磁化は１ピクセル当たり1000個配置した．撮影法はSE法とし，RF磁場不均一はπ/2とπパルスを同時に－20%～20%の範囲で直線的に変化させた．位相の変化は考慮していない．RF磁場不均一の影響は，不均一の有無による画像の差分で評価した．【結果】図1は不均一がある場合，図2は不均一の有無による画像の差分，図3は規格化したプロファイルを示す．例えば，不均一が±15%では画像強度は約－5%となる．今回開発した方法のみの高速化率は約9倍であり，すべての高速化法を用いると約36,000倍の高速化に相当する．【結論】高磁場で重要なRF磁場不均一の影響が評価可能となった．今後は，人体内で実際に生じるRF磁場不均一を組み込んだシミュレータの開発を目指したい．[１] 藤居，他：日磁医誌33: 1-12, 2013
