[O-3-307] 3T装置を用いた上腹部Computed DWI
【目的】拡散強調像は様々な上腹部疾患において有用性が示されルーチン検査においても不可欠となっているが、低いb値による潅流の影響や高いb値における信号雑音比の低下などの問題が残り、液体の信号が抑制不良な例や画質不良例も経験される。これらに対して様々なb値に相当するvirtualなDWIを後処理にて作製可能なcomputed DWI (cDWI)が考案され、有用性を示唆する報告が散見される。我々は3T装置にてcDWIを上腹部領域の様々な疾患に応用したので報告する。【方法】対象は肝胆膵疾患疑いにて腹部MRIが施行された51例(男23、女28、平均68.4才)である。東芝社製Titan 3TとSE-DWI法(TR/TE/FA=6500-11100/70/90, b値: 0,1000、matrix: 128×128, thk: 4-7 mm, 26-40 slice, NEX: 4, scan time: 4-6 min, PASTA+SPAIR, PI: 2.2 (y), MPG: y, z)を用いた。得られたb=0およびb=1000のDWIより、プロトタイプソフトウエアにてb=200,400,600,800,1200,1400,1600,1800,2000のcDWIを作製した。径10mm以上の32悪性病変、37良性病変を対象に病変のコントラストを算出しDWIを含めた各画像で比較した。DWI1000とcDWI400/2000にて画質、胆嚢内腔の信号抑制、病変視認性を評価し比較した。【結果】悪性病変のコントラストはcDWI1800-2000がDWI1000より有意に上昇、良性病変のコントラストはcDWIs1400-2000cDWIでDWI1000より有意に低下した。DWI1000と比較し、cDWI400で画質は有意に向上し、cDWI2000で胆嚢内腔の信号は有意に抑制された。悪性病変の視認性はcDWI2000にて有意に上昇し、良性病変の視認性は有意に低下した。【結論】高いb値でのcDWIでは悪性病変コントラストと視認性が向上し、良性病変と胆嚢の信号が抑制された。低いb値でのcDWIでは画質改善が得られた。上腹部MRIにおけるcDWIの有用性が示された。