第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

脾臓とMRCP

脾臓とMRCP

2014年9月20日(土) 10:30 〜 11:00 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:入江裕之(佐賀大学医学部 放射線医学教室)

[O-3-317] 膵臓MRIを用いた糖尿病発症の予測因子

野田佳史1, 五島聡1, 河合信行1, 近藤浩史1, 渡邊春夫1, 棚橋裕吉1, 兼松雅之1, 田中香織2, 長田真二2, 冨田弘之3 (1.岐阜大学医学部附属病院 放射線科, 2.岐阜大学医学部附属病院 腫瘍外科, 3.岐阜大学医学部附属病院 腫瘍病理)

【目的】膵臓MRIの各シーケンスを用いて糖尿病発症の予測因子を後方視的に検討する.【方法】対象は胆膵腫瘍精査目的にて膵臓MRIが撮像され,手術を施行されている29例 (男性15例,女性14例,平均67.5歳)とした. T1強調GRE像(In-phase, Opposed-of-phase),T2強調TSE,拡散強調画像,ADCmapにおける膵切除断端,脊柱起立筋の信号値をそれぞれ計測した.膵の信号値を脊柱起立筋の信号値で除することでその比 (signal intensity ratio, SIR)を算出した.また,膵手術標本においてislet amyloid polypeptide (IAPP) 沈着,膵線維化について半定量的に評価した.米国糖尿病学会の診断基準に基づく糖尿病患者群,糖尿病前症患者群,非糖尿病患者群において各シーケンスによるSIR,IAPP沈着,膵線維化グレードを評価した.【結果】重回帰分析ではIn-phaseとOpposed-phaseにおけるSIRが膵線維化 (P = .0002)とIAPP沈着 (P = .0045)に対して有意なパラメータとしてそれぞれ検出され,Opposed-phaseにおけるSIRは糖尿病の重症度とも有意な相関がみられた (P = .0001).糖尿病前症患者群,非糖尿病患者群と比較し,糖尿病群ではOpposed-phaseを用いたSIRで有意な低下を認め (P < .05), Odds ratioは52.0倍(カットオフ値1.08)であった.【結論】膵臓MRIにおいて,In-phase,Opposed-phaseでの膵実質の信号値低下は,IAPP沈着,膵線維化を反映していると考えられ,糖尿病発症の危険因子となり得る可能性が示唆される.