[O-3-319] 3D true-SSFP法を用いた呼吸停止下3D MRCPの初期検討 - 呼吸同期併用3D FSE法との比較 -
【背景・目的】現在3D MRCP検査では,呼吸同期法を併用したFSE法を用いた撮像手法が汎用的に用いられているが,呼吸同期のタイミングによっては画質が劣化することもある.我々は,この問題を解決すべく,3D true-SSFP法を用いた呼吸停止下での3D MRCPの撮像手法を考案し,呼吸同期併用3D FSE法との画質の比較を行ったので報告する.【方法】対象は,胆道系疾患を疑われてMRCP検査を行った患者28名(男:女 = 10 : 18,平均年齢:65.8±18)であり,使用した装置は,東芝社製3.0T MRI装置 Vantage Titan 3Tである.呼吸停止下3D true-SSFP法の主な撮像条件は,TR=4.8ms,TE=2.4ms,スライス厚=2mm,FOV=33cm×33cm,Mtx=256×256,総撮像時間は14秒である.3D FSE法の撮像条件は,TR=5000~7000ms,TE=572ms,TI=230ms,スライス厚=1.1mm,FOV=33cm×33cm,Mtx=320×320,総撮像時間は約3分30秒~4分30秒である.画像の評価方法は,肝内血管(門脈本幹,肝内門脈,肝静脈)の血液信号抑制状態及び3D FSE法との比較による総胆管,肝内胆管(1次,2次分枝まで),胆嚢管,胆嚢の描出能について,それぞれ4ポイントスケールで評価を行った.【結果】呼吸停止下3D true-SSFP法での門脈本幹,肝静脈の血液信号の抑制状態は,概ね良好であった.総胆管,肝内胆管,胆嚢管の描出能は,3D FSE法と同等であった評価が最も多く,それぞれ全体の52.9,67.8,50.0%であり,胆嚢の描出能は,69.3%が明らかに優れていたと評価した.但し,3D true-SSFP法では,肝臓内に発生したバンディングアーチファクトにより胆管2次分枝の描出能が低下することがしばしばあった.【結論】MRCP検査において3D true-SSFP法を利用した呼吸停止下3D MRCPを用いることによって,動きのない胆道系の撮像が可能であり,不安定な呼吸を行う症例において,呼吸同期併用3D FSE法に有用な胆道系情報を付加し得る撮像手法である.