第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

関節炎-リュウマチ

関節炎-リュウマチ

Sat. Sep 20, 2014 11:00 AM - 11:30 AM 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:玉川光春(札幌医科大学医学部 放射線診断学)

[O-3-321] Arterial spin labeling (ASL)法を用いた関節リウマチの滑膜炎の描出と解析

坂下太郎1, 神島保2, 杉森博行3, 唐明輝1 (1.北海道大学大学院保健科学院, 2.北海道大学大学院保健科学研究院, 3.北海道大学病院 放射線部)

【背景と目的】今日,関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)の滑膜炎をMRIで観察する場合,造影剤の使用が必須である.造影剤の使用は検査を煩雑化し,副作用やコストの面でも問題視されている.そのため,造影剤を用いない撮像法であるarterial spin labeling (ASL) 法でRAの滑膜炎を描出することを試みた.
【方法】RA患者3名を対象とし,GE社製3.0 T MRI装置を用いて3D pulsed continuous ASL法で手関節の撮像を行った(repetition time/echo time 4397~4852/10.704 ms, slice thickness 4 mm, matrix 128×128, field of view 240×240).post labeling delay (PLD)を1025, 1525, 2025 msと設定した.MATLABを用いてPLDの変化に対する信号変化をpixel-by-pixel解析で行い,散布図の近似直線の傾きにより画像を色分け表示し,ゴールドスタンダードであるdynamic造影画像との比較を行った.
【結果と考察】滑膜炎部位の傾きは中間的な値となった.また,PLDが長くなるにつれ,ラベリング領域から近い滑膜炎では傾きが負の値となる傾向を示し,遠い滑膜炎では正の値となる傾向を示した.一方,動脈はより急峻な信号変化の傾きを呈し,その他の組織の傾きは0に近い値であった.このような傾きの値に基づいて色分け表示することで,滑膜炎を視覚的に識別することができた.
【結語】RA患者の手関節におけるASL法での撮像を行った.複数のPLDに対する信号変化を解析し,色分け表示することにより滑膜炎と他組織との識別が可能となり,滑膜炎を視覚的にとらえることができた.