[P-1-007] 7T MRIの1H-MRSによる水-NAAの共鳴周波数変化を用いた温度計測
[目的]水の共鳴周波数は、比較的大きな温度変化を示す。MR Spectroscopyを用いた温度計測法として、N-acetylaspartate (NAA)のメチル基の共鳴周波数の温度変化が小さいことを利用して、水の共鳴周波数の変化から温度の計測が行われている。今回我々は、全身用 7T MR装置を用いたヒトの脳内温度計測を目的に、ファントムの温度を変化させながら水とNAAのシグナルを計測し、水の共鳴周波数の変化から温度変化を計測し、全身用7TMRI装置での温度測定の安定性や精度を確認した。 [方法]MR装置はシーメンス社製 7T MRを、RF コイルはQED社製ヘッドコイルとループコイル (プロトン-リンdouble-tuned coilのプロトンチャンネル) を用いた。測定ファントムは10 mM NAA 水溶液とし、温めたファントムをMR装置内で自然冷却させながら水およびNAAのシグナルを連続的に測定した。撮像シーケンスはPRESS 法を用いた。ファントムの温度計測はフォトンコントロール社製光ファイバー温度計を用い、プローブをファントム内に挿入して温度計測を行った。得られたスペクトルから自作の解析ソフトを用いてデータ処理を行った。 [結果]自然冷却におけるファントムの水温が40℃から約30℃までの範囲において、水のプロトン共鳴周波数からNAA信号を基準として計測した温度変化は、光ファイバー温度計を用いた結果とよく一致し、安定した計測が可能であった。NAAの信号が安定的に計測できる場合は、7T MRによる、水-NAAプロトンシグナルを用いた温度計測は、検出感度が高く、また周波数分解能の高い有効な方法であると考えられる。今後、ヒトの撮像を行い脳機能研究への応用を検討したい。