第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

MRS

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Thu. Sep 18, 2014 2:36 PM - 3:00 PM ポスター会場 (3F 金葉の間)

座長:渡邉英宏(国立環境研究所環境計測研究センター 生体応答計測研究室)

[P-1-009] プロトンおよびリンMR信号を用いた7T MRIによる新しい温度計測法の開発

東高志1, 瀧澤修2, 栗林秀人2, 中井隆介3, 吉岡芳親4, 都賀谷紀宏3, 劉国相1 (1.情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター, 2.シーメンス・ジャパン, 3.京都大学 再生医科学研究所, 4.大阪大学 免疫学フロンティア研究センター)

[目的]水の共鳴周波数は、比較的大きな温度変化を示し、MR 温度計測として応用されている。一般に、脳では N-acetylaspartate (NAA) を基準にすることが多いが、脳腫瘍等のNAAの検出が困難な組織や臓器では、基準が問題となる。そこで、今回、我々は高感度周波数計測に有利な 7T MRI を用いて、新しい計測方法として生体内物質のスペクトルで温度の影響が少ないと考えられるリンの信号を基準とすることの可能性を検討した。[方法]プロトンおよびリン計測が可能なRF コイルとして QED 社製ループコイルを用い、温めたファントムをシーメンス社製 7T MRI 内で自然冷却させながら、PRESS 法を用いたプロトンスペクトルと、傾斜磁場による体積選択を行わないリンのスペクトルを交互に計測した。ファントムとしては、20 mM NaH2PO4 水溶液を用いた。ファントムの温度計測には フォトンコントロール社製光ファイバー温度プローブをファントムに挿入し、MR 計測と同時に温度を計測した。スペクトル処理には、自作のソフトウェアを用いた。リンの NaH2PO4 信号を基準として、水プロトンの共鳴周波数の変化から温度計測を行った。 [結果]水温が40℃から自然冷却で約30℃までの範囲において、水のプロトン共鳴周波数からリン信号を基準として計測した温度は、若干の揺らぎはあるものの、光ファイバー温度計を用いた結果と同じ傾向を示した。本法は、NAAのような基準信号を安定して得ることが難しい組織などに対して有効である。また、リン信号の経時的計測は、システムの安定性などを計る指標としても有効であり、幅広い応用が考えられる。