第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

心大血管-MRA

心大血管-MRA1

Thu. Sep 18, 2014 3:00 PM - 3:36 PM ポスター会場 (3F 金葉の間)

座長:竹原康雄(浜松医科大学医学部附属病院 放射線部)

[P-1-014] MR Angiographyで偽陰性を示した冠動脈完全閉塞の1例

天沼誠1, 松谷英幸2, 関根貴子2, 新井雄大2, 森田ひとみ2, 高柳友也2, 佐野始也2, 石坂和真2, 高瀬真一3 (1.高瀬クリニック 放射線科, 2.高瀬クリニック 放射線部, 3.高瀬クリニック 循環器内科)

<目的>冠動脈MR angiography (MRA) は臨床的には陰性的中率の高さが重要であり、偽陰性例がほとんどみられない特徴がある。今回冠動脈MRAで正常所見を示した冠動脈完全閉塞例を経験したので若干の考察を加えて報告する。<症例>症例は59歳男性で6年前よりときどき胸部の不快感を感じていた。10日前就寝中に胸部違和感を自覚し労作時の圧迫感がつづくため受診。胸部CT angiographyで右冠動脈(#2), 左前下行枝(#6)の完全閉塞が疑われたが同部に高度の石灰化を合併していたため、評価困難が予想され直後にMRAを施行した。MRA画像ではCTで閉塞を疑われた部位に異常所見はなく回旋枝の狭窄のみ指摘された。CTAとMRA所見の解離を説明するために2日後に再度施行されたMRIにおいて病変部内腔にdark blood法T1強調像で高信号、T2強調像で軽度高信号を示す構造を認め、早期の血栓と判断された。この直後の冠動脈造影で右冠動脈(#2), 左前下行枝(#6)の完全閉塞が確認された。病変部のガイドワイヤーの通過は比較的容易で最近に形成された血栓による閉塞と判断され、レーザーによる冠動脈形成術後にステントが留置された。なお、回旋枝(#13)の有意狭窄はMRA所見と一致していた。<結語>coherent type gradient echo 法では画像コントラストがT2/T1 で規定されるために早期の血栓ではこの値が高くなり血液信号と同程度になる時相が存在するはずである。この時期に撮像された場合、本症例のようにコントラストの消失により血栓の存在が見逃される可能性があり冠動脈MRAにおける重要なpitfall と考えられる。