第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

その他-血流評価

その他-血流評価

Thu. Sep 18, 2014 3:48 PM - 4:12 PM ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:宮崎美津恵(東芝メディカルシステムズ株式会社 MR開発部)

[P-1-036] 下肢リンパ浮腫におけるMR Lymphangiographyの検討

吉原信幸1, 曽我茂義2, 大西文夫3 (1.防衛医科大学校病院 放射線部, 2.防衛医科大学校 放射線医学講座, 3.埼玉医科大学総合医療センター 形成外科)

【目的】
外科的治療後、術後数年を経過して下肢にリンパ浮腫が生じる場合がある。有力な外科的治療法としてリンパ管静脈吻合術(LVA)が施行されているが、術中にリンパ管同定のために行われるICG蛍光造影法は、皮下組織が厚い場合やリンパ管が深部に位置する場合は、その同定が困難となる。そこでMRIによるリンパ管検査を検討した。MRIによる広範囲の検査では、均一な脂肪抑制効果が得られにくいため、Dixon法を用いたMR Lymphangiography(MRL)について検討を行った。
【方法】
使用装置はPhilips社製Ingenia 1.5T装置を用いて、ファントムと臨床画像により検討を行った。Gd造影剤を0・0.125・0.25・0.5・1.0・2.0mmol/L濃度に調整した自作コントラストファントムを用い、Dixon法にてSNRとコントラストを測定し、至適FA、TR/TEを求めた。MRリンパ管検査法として、3D Dixon法を用いたMRL、浮腫評価用STIR法、ボリューム計測用の3D T1 FFE法にて骨盤部から下肢全長の検査を行った。MRLが施行された下肢リンパ浮腫20例(男性2名・女性18名:平均年齢53.95±14.66歳)の皮下脂肪層(下腿・膝・大腿・骨盤)に、ROIをとって信号強度を測定し、脂肪抑制効果を変動係数CVにて評価した。造影後Dixon法にて時間をおいて2回の撮像を行い、リンパ管、Dermal Back Flow(DBF)、鼠径リンパ節にROIをとって信号強度を測定し、これらを描出するための至適撮像時間を検討した。
【結果及び考察】
ファントム評価から得られた至適撮像条件にてMRLを施行した。変動係数評価より、Dixon法を用いることで、下肢全長の均一な脂肪抑制効果が得られた。MRLは造影剤皮下注後2回の撮像が行われたが、信号強度測定結果からは統計的有意差はなく、造影後約18~32分の撮像で、リンパ管、DBF、鼠径リンパ節の良好な描出が可能であった。MRLは機能が残存したリンパ管の描出が可能であり、MRリンパ管検査を術前・術後に行うことで、より安全な手術計画や追加LVAの検討を含めた術後評価にも有用である。