[P-1-040] 頭部領域における脂肪抑制併用FLAIR-SPACE法の基礎的検討
【目的】頭部領域におけるFLAIR法(脂肪抑制併用)の有用性は高く外傷性疾患、脳腫瘍、脱髄性疾患など多断面での観察が必要な場合が多い。しかし2D収集では撮像方向が追加されると撮像時間が延長する。今回、脳脊髄液(CSF)の抑制効果が高く、短時間でボリュームデータが撮像可能なFLAIR-SPACEに注目し撮像条件の最適化を行った。【使用機器】 MAGNETOM Verio 3.0T、使用コイルは32ch Head Coil、自作ファントム。【方法】Gd造影剤希釈液(0.066%、0.01%)、オリーブオイル、蒸留水をプラスチック容器に封入し3T装置における頭部擬似ファントムを作成した。検討課題:TR 5000ms~7000ms(1000ms間隔)、TI 1400ms~3000ms(50ms間隔)、TE 70ms~110msまで(10ms間隔)で変化させ最適な撮像条件をSNR、CNRにより評価した。次に同意の得られた健常ボランティア1名に対し最適化したFLAIR-SPACE(脂肪抑制併用)と2D-FLAIRを撮像し白質、灰白質のCNRの比較を行った。また、FLAIR-SPACE(脂肪抑制なし)の撮像を行い2D-FLAIRと同様CNRにより比較を行った。【結果】TRの延長に伴いCSFのnull pointは延長した。CNRの評価ではTR、TEが延長するほど白質・灰白質のCNRは高い値を示した。撮像時間を考慮しFLAIR-SPACE(脂肪抑制併用)の最適な撮像条件をTR 5000ms、TE 110msとし、CSFがnull pointとなるTI delayを1750msと決定した。健常ボランティア評価では2D-FLAIRとほぼ同等のCNRを示し、CSFの抑制効果も優れていた。また、脂肪抑制を併用することで白質、灰白質のCNRは高い値を示した。【考察】FLAIR-SPACEはCSFの信号抑制効果に優れていた。これはIRパルスを頭部全域で励起することで2D-FLAIR撮像時に経験するCSFの消え残りがなかったためだと考える。また、脂肪抑制を併用することで白質、灰白質のCNRは高い値を示した。これは白質が灰白質と異なり脂質が豊富な構造であり、白質信号が抑制されたためだと考える。【結語】FLAIR-SPACEはCSFの信号抑制効果に優れていた。FLAIR-SPACEに脂肪抑制を併用することで短時間に白質、灰白質のCNRが優れた多断面画像を得ることができるようになった。