第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

骨・軟骨

骨・軟骨

Thu. Sep 18, 2014 2:36 PM - 3:30 PM ポスター会場 (5F ロビー)

座長:佐志隆士(八重洲クリニック)

[P-1-051] 膝関節運動機構の機能不全がもたらす損傷リスクの一考察 「関節の動揺と前十字靭帯の緊張と弛緩について」

前野正登 (国立障害者リハビリテーションセンター病院)

【背景と目的】前十字靭帯(ACL)は、非接触による損傷の発生率が高いことが知られ、特に非接触損傷には危険姿位があるとされ、損傷を回避するために多様なトレーニングの試行が行われている。非接触損傷では、膝関節の屈曲角度とKnee-in Toe-outの姿勢が挙げられ、エコーや映像分析、筋電図によるものが多数報告されている。本報告では、MRIによる膝関節の角度変化した3DデータとKnee-in Toe-out姿勢の3Dデータを画像再構成することでACLの緊張と弛緩の動態を目的とした。【結果】過伸展のリスクACLは、膝関節の過伸展では顆間窩下部に支点を形成し緊張がみられ、屈曲30°では弛緩がみられ、さらに屈曲角度が大きくなると再び緊張がみられた。この過伸展での着地は、膝関節弛緩症や過伸展時の大きな可動域を伴う場合には、顆間窩下部の支点が「テコの作用」によりリスクを増大させる。さらに、過伸展(背屈)角度の増大は、下肢への制動力が効かない状態に陥っている可能性が高い。Knee-in Toe-outのリスクKnee-in Toe-outでは、30°通常屈曲よりもACLは明らかな弛緩がみられた。この弛緩状態は、車の牽引と同じく緩んだ状態で牽引した場合の衝撃と同じと考える。アライメントでは、外側顆は半月板の外側に乗り上がっているが、外側半月板は前後に移動する働きをもち不安定な支点である。他方内側顆は浮き上がった状態に陥っていることから、大腿骨内外側顆は動揺状態(亜脱臼)に陥っている可能性が高い。【まとめ】過伸展着地は、膝の過伸展(背屈)を助長し下肢の制動力の消失とKnee-in Toe-out時の支点による動揺状態、さらにこの姿勢によるACLの弛緩は緊張時の力が一時的に大きくなり、リスクを高める可能性があることを画像から推測できた。よって非接触ACL損傷は、膝関節運動機構の機能不全に陥ることから、損傷を誘発させている可能性が考えられる。