第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

骨・軟骨

骨・軟骨

Thu. Sep 18, 2014 2:36 PM - 3:30 PM ポスター会場 (5F ロビー)

座長:佐志隆士(八重洲クリニック)

[P-1-052] MR-US音速測定法を用いた再生軟骨の非侵襲評価

新田尚隆1, 兵藤行志1, 三澤雅樹1, 沼野智一2, 白崎芳夫1, 林和彦1, 本間一弘1, 高戸毅3, 藤原夕子3, 星和人3 (1.(独)産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 2.首都大学東京人間健康科学研究科 放射線科学域, 3.東京大学医学部附属病院 ティッシュ・エンジニアリング部)

【目的】音速は組織性状を反映し、弾性や含水量の評価指標として期待され、非侵襲測定が望まれている。しかしながら実質的に超音波の伝搬時間のみを計測する超音波診断装置単独では音速を計測することが難しい。そこでMRI画像から得られる幾何学的な距離情報と組み合わせ、音速の非侵襲測定を可能にするマルチモダリティ法(MR-US音速測定法)の検討を進めている。本研究では、その一応用として、再生軟骨の生体内評価に適用したので報告する。
【方法】本研究における全ての処置は東大病院及び産総研倫理委員会の承認を受けて実施された。10週齢ラット(オス)の背部皮下にヒト軟骨細胞を播種したPLLA足場材(50 x 6 x 3 mm)を移植して再生軟骨を作製し、2週及び8週後に解析を行った。ネガコン群として線維芽細胞を混入させた再生軟骨も作製し併せて解析した。麻酔下のラットに対し、動物実験用2T MRI(Bruker, Biospec 20/30)を用いて撮像を行い、再生軟骨の厚さ(MR-thickness)を測定した。また超音波診断装置(Hitachi, EUB-8500)を用いて同部位の断層像を取得し、スペックルトラッキング法を用いた変位解析による境界検出を行って、超音波画像上の再生軟骨の厚さ(Bm-thickness)を計測した。最終的な音速値Cvivoは次式により決定した。
Cvivo = 1530×MR-thickness/Bm-thickness
計測後に再生軟骨を摘出して成形し、パルス法により計測した音速の参照値CvitroをCvivoと比較した。また得られた音速と力学特性との関係を明らかにするため、静的圧縮試験で得られた圧縮弾性率と片持ち試験で得られた曲げ弾性率をCvivoと比較した。【結果】CvivoとCvitroは線形関係にあり高い相関を示した(R2=0.94)。これによりCvivo測定の妥当性が確認された。次いで、Cvivoと各弾性率との相関を調べた結果、圧縮弾性率とは正の相関(R2=0.86)、曲げ弾性率とは負の相関(R2=0.93)を示した。このことから、Cvivoは今回の再生軟骨における組成の違いを反映し、圧縮弾性率の影響を強く受けていることが分かった。【結論】MRIと超音波の併用したマルチモダリティ音速測定法は、再生軟骨の弾性評価に有用であることが示唆された。