[P-1-059] 股関節唇の評価における3D isotropic voxel MRIの有用性
【目的】股関節において関節唇損傷は関節症の前段階の病変として重要であるが、立体的な構造から従来の画像による診断が困難であった。3D isotropic voxel MRIは、ワークステーション上での再構成による画像劣化が少なく、任意の断面での評価が可能なことから、関節唇の評価に有用な撮像法と考えられる。本検討の目的は股関節唇における3D isotropic voxel MRIの評価能を検討することである。【方法】対象は股関節痛のためMRIを撮像した5例5股である。GE社製MRI discovery750を使用し、FSE Cube法を用いた矢状断脂肪抑制プロトン密度強調3D isotropic voxel MRIと、骨頭中心について30°ずつ放射状に関節唇を撮像した斜矢状断面脂肪抑制プロトン密度強調放射状MRIを撮像した。放射状MRIの各撮像面の画像と、これに相当する断面に再構成した3D isotropic voxel MRIの画像について、股関節唇のsignal-to-noise ratio、寛骨臼と股関節唇のcontrast-to-noise ratio、及びコントラスト比を測定した。またAbeの分類による股関節唇形態について2名の整形外科医による診断の検者間一致率を評価した。【結果】従来の放射状MRIとFSE-Cubeを用いた3D isotropic voxel MRIにおいてSNR、CNR、コントラスト比には有意差を認めなかった。放射状MRIによる各診断面において一致率は100%であった。【結論】3D isotropic voxel MRIは関節唇の評価において放射状MRIと同程度の評価能を有し、かつ任意の断面による診断が可能であるため診断に有用であった。