第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

骨格筋-機能評価

骨格筋-機能評価

Thu. Sep 18, 2014 4:06 PM - 4:36 PM ポスター会場 (5F ロビー)

座長:渡邉康晴(明治国際医療大学 医療情報学)

[P-1-064] 筋肉トレーニングによる骨格筋細胞内拡散変化の追跡

岡本嘉一, 磯辺智範, 平野雄二, 正田純一, 南学 (筑波大学 臨床医学系放射線診断IVR)

導入:過去の文献から、骨格筋の水分子の拡散制限因子は主に骨格筋細胞膜であることが知られているが、我々はアスリートと非アスリートの拡散を比較したところ、骨格筋細胞が大きいはずのアスリートの拡散が、非アスリートより制限されていたことを見出し、報告した。つまり細胞膜のみならず、細胞内因子とくにミオフィラメントの増加も拡散制限のひとつになりうると考えている。すなわち状況によって拡散制限因子は細胞膜と細胞内因子とが入れ替わりうることを示唆する。そこで今回は同一人物で全身の骨格筋トレーニングを行い、その拡散の変化を観察することで、骨格筋の拡散がどのように変化するのかを観察した。方法:対象は21名のnon-alcoholic fatt y liver disease (NAFLD)患者。これらに対しhybrid training (HYBT)という筋肉トレーニング方法を6カ月間施し、大腿筋群の拡散変化を3T MRIにて観察した。b値は500 s/mm2とした。
結果:
大腿二頭筋でλ1 (P<0.01) と λ2 (P<0.01) 、半腱様筋で λ1 (P<0.05) 、半膜様筋でλ1 (P<0.05) と λ2 (P<0.05) 、内側広筋でλ1 (P<0.01) 、λ2 (P<0.01) と λ3 (P<0.01)、中間広筋で λ1 (P<0.01)、λ2 (P<0.01) と λ3 (P<0.01) 、外側広筋でλ1 (P<0.01) 、大腿直筋でλ1 (P<0.01) と λ2 (P<0.05) が変化した。これらはいずれも運動前と比較して有意な上昇を示した。これは細胞膜が主たる拡散制限因子となり、筋肥大とともに各方向の拡散が延長したことを示唆する。
結語:今回の結果は我々のアスリート、非アスリートを比較した研究とは逆の結果であり、おそらく細胞膜が主たる拡散制限因子となったと思われる。しかしミオフィラメントの密度が高くなるほどのトレーニングは数年かかるため、細胞内成分が主たる拡散制限因子となるためにはかなりの筋肥大をきたすトレーニングが必要と考えられた。