第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

脳・脊髄-拡散

脳・脊髄-拡散1

Thu. Sep 18, 2014 2:00 PM - 2:48 PM ポスター会場 (5F 通路)

座長:八木一夫(首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線学域)

[P-1-067] パーキンソン病における嗅覚障害と脳微細構造変化の相関解析 ~皮質厚、灰白質容積、白質変性の評価

鎌形康司1, 波田野琢2, 阿部修3, 奥住文美2, 堀正明1, 鈴木通真1, 下地啓五1, 錦織瞭4, 濱崎望1, 佐藤秀二1, 服部信孝2, 青木茂樹1 (1.順天堂大学 放射線科・部, 2.順天堂大学 脳神経内科, 3.日本大学医学部 放射線医学系画像診断学分野, 4.首都大学東京 放射線科学域)

【目的】嗅覚障害はパーキンソン病において最も早期から合併する非運動症状の一つであり、パーキンソン病における認知機能障害の予測因子とも言われる。現在まで、脳MRIによる画像研究で嗅覚障害と様々な脳部位の構造・機能変化との関連が示唆されているが、未だ嗅覚障害やそれに伴う認知障害の発症・進行を予測できるようなサロゲートマーカーは見出されていない。今回我々は、Diffusion MRIと3D-T1WIによる高精細構造画像の解析により、嗅覚障害とパーキンソン病患者脳の微細な構造変化の関連について検討を行った。
【方法】27人のPD患者を対象に嗅覚障害スコア(OSIT-J)の測定と3TMRIによるdiffusional kurotosis imaging(DKI)、3D-T1WI撮像を行った。Mean kurtosis (MK) mapはdTV2FZRxを用いて作成し、fractional anisotropy(FA) map, mean diffusivity(MD) mapはFSLを用いてb=0, 1000のデータから作成した。その後、MK, FA, MD mapについてはTract-Based Spatial Statictics (TBSS)を用いて嗅覚障害スコアとの相関解析を行った。3DT1WIについてはfreesurferを用いた皮質厚、Statistical Parametric Mapping 8 (SPM8)・DARTEL法を用いた脳灰白質容積と嗅覚障害スコアとの相関解析をそれぞれ行った。さらに嗅覚障害との相関傾向を示した領域の定量値を独立変数、嗅覚障害スコアを従属変数、年齢・性別・全脳容積量を制御因子として、重回帰分析を行った。
【結果】TBSS, freesurfer, SPMによる画像解析の結果、右帯状回海馬部白質FAと左前帯状回皮質厚、左下側頭回皮質厚が嗅覚障害スコアと相関傾向を示した。これらの定量値を独立変数とした重回帰分析の結果、右下側頭回皮質厚(β=0.418, 95% CI=1.586~13.484)、右海馬白質FA(β=0.409, 95% CI=8.577~80.252)が有意に嗅覚障害スコアに影響を与えることが示された。
【結論】本研究ではPDにおける嗅覚障害と右下側頭回皮質厚に相関が見られた。この結果より嗅覚障害を来した症例はすでに病変が皮質へ広がるBraak stage 5まで進行している可能性が示唆された。