第42回日本磁気共鳴医学会大会

Presentation information

ポスター

脳・脊髄-拡散

脳・脊髄-拡散1

Thu. Sep 18, 2014 2:00 PM - 2:48 PM ポスター会場 (5F 通路)

座長:八木一夫(首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線学域)

[P-1-070] 急性期脳梗塞におけるhigh b-value DWIの信号変化による診断的有用性の検討

林哲司1, 浜口明巧1, 藤間憲幸2 (1.札幌麻生脳神経外科病院, 2.北海道大学病院 放射線診断科)

【背景・目的】急性期脳梗塞の一般的な臨床診断におけるDWIのb値として1000[s/mm2]程度が用いられることが多い。しかし、より高いb値のDWIは急性期脳梗塞において細胞性浮腫のさらに微細な変化を早期検出できる可能性がある。近年、高いb値を用いた解析法としてQ-space法があるが、非常に長い撮像時間が必要である等の問題がある。そこで今回、我々は段階的に1000~10000[s/mm2]までb値を変化させた拡散強調画像を撮像し,急性期脳梗塞症例に対する診断的有用性を検討した。
【方法】使用機器は、Discovery750 3.0T-MRI(GE社製)、受信コイルは頭頸部用12chコイルを使用した。対象症例は急性期脳梗塞発症後、24時間以内に閉塞血管が再開通した7症例とした。それぞれの患者に対して梗塞発症後の急性期にb値を1000~10000[s/mm2]の範囲で1000刻みとしたDWIを撮像した。また、予後因子として経過観察の画像における再開通後の出血の有無、壊死に陥った最終梗塞巣の範囲を決定した。発症後急性期のそれぞれのb値におけるDWIの高信号の範囲およびADC値の分布と、予後因子との関連性について比較検討を行った。
【結果・考察】7例中4例は急性期の評価でのDWIで高信号を示した領域がいずれも最終梗塞巣へ移行したのに対し、他の3例については、一部で最終梗塞巣への移行を認めなかった。b値が8000~10000でのDWIにおいて、最終梗塞巣へ移行しなかった領域は移行した領域や他の正常脳実質と比べて、高信号がより強い傾向にあった。その他の検討項目に関しては、関連性は認めなかった。
【結語】閉塞血管の再開通を伴った急性期脳梗塞の予後予測因子として、高いb値のDWIの追加撮像により新たな情報が得られる可能性がある。