[P-1-081] 局所選択励起法を用いた拡散強調画像における画像の歪みの検討
【背景】局所選択励起法は、スライス方向に加え位相方向も選択的に励起する方法である。この方法を用いた拡散強調画像では小さなField of view(FOV)でも、折り返しアーチファクトが生じることがなく、通常の拡散強調画像よりも高分解能な画像を得ることが可能である。しかし、局所選択励起法を用いた拡散強調画像の最適な撮像条件については、十分な検討はなされていない。【目的】本検討では局所選択励起法を用いた拡散強調画像において、撮像条件と画像の歪みの関係に着目し検討する。【方法】使用装置は3T-MRI(Discovery 750w、GE社製)とし、精度管理用ファントム(AIIParts MEDICAL社製)を使用した。ファントム内の円柱部分において局所選択励起法を用いた拡散強調画像と参照用としてT2強調画像を撮像した。撮像条件はFOV;100、150、200mm、周波数方向のmatrix;64、96、128、phase FOV;0.25、0.5、0.75%、対象物のFOV内の位置;右側、中央、左側とし、各条件下にて円の歪みと位相方向へのシフトを測定した。測定方法として拡散強調画像とT2強調画像を二値化処理し、歪みはそれらの差分画像から測定し、シフトはフーリエ位相相関法を用いて測定した。【結果】Matrixを固定しFOVを変化させた場合、歪みとシフトはそれぞれFOVが100mmで30.4mm 2と0.5mm、150mmで39.7mm 2と1.2mm、200mmで66.5mm 2と5.2mmとなった。次にFOVを固定しmatrixを変化させた場合、歪みとシフトはmatrixが64で36.7mm 2と0.9mm、96で32.4mm 2と1.1mm、128で39.7mm 2と1.2mmとなった。また、FOVとmatrixを固定しphase FOVを変化させた場合、歪みとシフトはphase FOVが0.25%で38.5mm 2と2.6mm、0.5%で66.5mm 2と5.2mm、0.75%で92.7mm 2と7.1mmとなり、対象物のFOV内の位置を変化させた場合、歪み量とシフト量は右側で69.7mm 2と1.1mm、中央で39.7mm 2と1.2mm、左側で56.2mm 2と2.7mmとなった。【結論】局所選択励起法を用いた拡散強調画像において、FOVとphase FOVを小さくし、対象物をFOVの中央に撮像すると画像の歪みが抑えられると考えらえる。