[P-2-125] 柔軟な固定法と高速撮像法を用いた簡便な awake mouse MRI 測定法の開発
【背景】小動物の中でもマウスは遺伝子改変技術が進歩していることから、マウスを対象とするMRIは、各種疾患の治療・解明に大きく貢献できる。通常、動物を対象とするMRIでは、麻酔と固定を行い測定対象の動きを抑えている。しかし、麻酔下と覚醒下では、動物の生理状態が異なることが報告されている[1]。そこで、動物に対する麻酔の影響を排除するため、awake MRI が注目されている。現在、awake MRIにおいて動物の動きを抑える方法として、手術により動物の頭に固定具を埋め込む方法や、訓練により動物を馴化する方法が主に用いられている。しかし、これらの手法は技術と日数を要するという欠点がある。【目的】本研究は、手術や訓練を行わず簡便に実施できるawake mouse MRI測定法の開発を目的とする。我々は昨年度本大会やISMRMにおいて、マウス服を用いた柔軟な固定法と高速撮像法を組み合わせた無麻酔下でのマウス頭部のMRI撮像について報告した[2,3]。今回は新たな服の素材及び固定法を検討した。【方法】装置は7T MRI (Bruker Biospin) を使用した。C57BL/6オスマウスを対象として、固定のためにマウスの全身にフィットする服をデザイン・作製して用いた。服を固定してMRI撮像できるようにベッドに自作固定具を付加した。数種類の素材および形状のマウス服を用いた種々の撮像法により、頭部の同一スライスを撮像した。得られた画像に関してSPM8により頭部の動きを解析した。撮像中の体温は37±1℃を維持し、呼吸数と心拍数をモニタリングした。【結果・考察】無麻酔下、手術・訓練なしで、マウスのmotion artifactの少ない脳画像を得た。撮像中の呼吸数、心拍数ともに覚醒マウスが示す正常値を推移した。また、自作固定具に改良を加えてマウス頭部の併進移動距離をおよそ 0.1 mm 以内に収めた。今後は更なる検討を重ね、awake mouse を用いたBOLD fMRIなどによる、麻酔下と覚醒下での生体機能の違いの解明に貢献したい。【参考文献】[1]Karwacki, Z. et al., Folia Morphologica 60, 235-242 (2001) [2]草薙 他, 第41回磁気共鳴医学会大会, p-3-245 (2013) [3]Kusanagi, S. et al., ISMRM, 1298 (2014)