[P-2-165] 頭部非造影4D-MRAにおける時相間可変flip angle法の有用性の検討
【背景】頭部領域のtime of flight(TOF) - magnetic resonance angiography (MRA)は造影剤を用いることなく血管走行を把握できことから現在までに広く用いられているが,血行動態を画像に反映させることができない.Arterial spin labeling (ASL) 法を用いて経時的に頭蓋内血管を描出することができる非造影4D-MRAに関する報告が現在までにいくつか存在するが、複数時相撮像において同一のflip angle(FA) を用いているため,後半時相における末梢血管描出に関して信号の飽和の影響により十分な情報が得られないことがある. 【目的】本研究は複数時相間でFAを可変することができる時相間可変FA法を用いることで,頭部非造影4D-MRAにおける後半時相の血管描出を向上させることを目的とした.【方法】装置はPhilips社製3T MRI装置(Achieva TX-series),8-channel head coilを用い,撮像に同意の得られた健常ボランティア5名の頭部血管を撮像対象とした.非造影4D-MRAの撮像シーケンスは3D T1-TFEPI sequence TR/TE:41/9.1ms, 150 slices, slice thickness:0.7 mm, flip angle: constant (20degree) / variable (max 20degree), 192 matrix, SENSE factor 3, cycle duration :1900ms, number of phases :8, time of phase:200ms, field of view :230 mm, acquisition time: 5:45である.FA設定条件による比較として撮像8phaseのFAを固定したFA constant法と時相間でFAを変化させたFA sweep法の2種類を用いて撮像を行った.得られた画像を中枢側・末梢側に分類し,各時相での信号強度を測定することによりFA constant / sweep法それぞれにおける血管描出の比較を行った. 【結果および考察】FA sweepを用いた撮像は後半時相における末梢血管信号強度においてFA constant に比べて信号強度が大きくなった.しかし,前半時相におけるFA sweep を用いた撮像は低いFAでの撮像であるために,中枢側においてFA constant に比べ信号強度が低くなる結果となった. 【結論】時相間可変FA法を用いた頭部非造影4D-MRAは,FAを固定した撮像法に比べ末梢血管の描出を向上させることが可能であり,血行動態把握に有用な撮像法であることが示唆された.