第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-診断

脳・脊髄-診断1

2014年9月19日(金) 11:06 〜 11:42 ポスター会場 (5F 通路)

座長:樋渡昭雄(九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学分野)

[P-2-191] 下垂体および傍下垂体病変における視路の3D-FLAIR所見と視機能の関連

北島美香1, 平井俊範1, 矢野茂敏2, 井料保彦1, 東美菜子1, 山下康行1 (1.熊本大学医学部 画像診断・治療科, 2.熊本大学医学部 脳神経外科)

【目的】 下垂体・傍下垂体病変における視路の3D-FLAIR所見と治療前後の視機能変化の関連について検討する。
【対象と方法】 対象は、治療前に3T-MRIでSPACE法を用いた3D-FLAIR(TR/TE/TI 6000/421/2000, TSE factor 135, 0.9 mm isovoxel)を撮像し、組織学的診断のついた、視路の圧排のある下垂体・傍下垂体腫瘍38例(下垂体腺腫20例、頭蓋咽頭腫12例、Rathke嚢胞4例、胚腫1例、dermoid cyst 1例)である。全例で治療前後に視機能の評価が可能であった。3D-FLAIRでの視路の異常信号の有無、広がり(視神経、視交叉、視索)、視神経-視索の萎縮あるいは腫瘍の圧排により視路を同定できない部位の有無を評価した。視機能は、1名の脳神経外科医が評価した。異常信号の有無と治療後の視機能改善の関連について、sensitivity、specificity、accuracyを算出した。異常信号の広がり、視路の萎縮/高度圧排と視機能改善の関連も評価した。
【結果】術前に視路の異常信号を認めず、視機能の異常を認めた症例は5例で、いずれも視機能の改善を認めた。術前に視路の異常信号、視機能の異常ともに認めない症例は4例であった。術前に視路の異常信号を認め、かつ視機能の異常がみられた29例中23例(79.3%)で手術により視機能改善を認めた。異常信号の有無よる視機能改善の予測に関しては、sensitivity 55.6%、specificity 20.7%、accuracy 28.9%であった。異常信号の分布は、1部位に異常信号を認めた4例(視神経3例、視交叉1例)、2部位に異常信号を認めた2例(視交叉-視索)で視機能改善がなかった。視路の委縮あるいは高度の圧排を認めた14例のうち1例で視機能改善がなかった。
【結論】視路の圧排のある下垂体・傍下垂体腫瘍症例では、3D-FLAIRで視路の異常信号を認める頻度は高く、3D-FLAIRの所見から視機能改善を予測することは難しい。